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 6月13日に日本とノルウェーのタンカーが攻撃される事態がありました。イランが過激な行動を取ったとしても、あの程度がせいぜいでしょう。私は、あの事件を起こしたのは革命防衛隊などの孫請け組織だと見ています。場所は、イラン領海の外縁から2カイリほど。イランが厳しく管理をしている海域ですから、イラン関連の組織がやったのは間違いありません。ただし、そのやり方は素人然としたものでした。今のタンカーは二重船体になっています。日本のタンカーへの攻撃は内側のタンクに及ぶものでなく、火災を発生させることもできなかった。

 さらに、日本のタンカーと意識することなく攻撃したものとみられます。その場にいた、やりやすそうな船を選んだ。安倍首相がイランを訪問していた時ですから、イラン政府としては孫請け組織が「とんでもないことをしてくれた」と見ていたでしょう。

 一方、米国にとっても、今の段階で軍事行動を起こすのは時期尚早です。イランが核合意を破り、低濃縮ウランの貯蔵量が2015年の核合意で規定した300kgを超えても、濃縮度を合意を上回る4~5%に上げることがあっても、核兵器の開発を始めるには、まだいくつものステップが残っています。軍事行動を要する事態には至っていません。

 また、米国にとって現在の最大の脅威は中国です。イランに対処するために、北東アジアに置くべき軍事アセットを中東に回すのは考えづらいことです。加えて、軍事行動は一度始めたら、どこまでエスカレートするか分かりません。中東にくぎ付けになる可能性があり、リスクが大きすぎます。

米国の狙いは中東の安定維持

米国が有志連合の結成に向けて、動き始めたのはなぜでしょう。

香田:米国は、中東地域の安定を国益と考えているからです。冒頭でお話しした、考えておくべきことの2つ目と関連します。

 シェール革命が起きて、エネルギー供給における中東依存度は下がっています。このため、米軍が中東に直接関与する必要性は小さくなっている。それでも、この地域の面としての安定を維持し、海上交通の秩序を維持することは依然として重要と見ているのです。先ほど触れたタンカーへの攻撃のようなイランの冒険を抑止する意図もあるでしょう。

 ただし、そのための行動のすべてを米国が単独で賄うことはできません。なので、自国の船を護衛する力のある国は自分でやってほしいということです。

先ほど、イランに軍事行動を起こす気はないと説明していただきました。そうであれば、米国が中心となって有志連合を結成することが、かえってイランを刺激することになりませんか。

香田:確かに、イランが態度を硬化させる可能性はあるかもしれません。ただし「刺激」はすでにしています。その一方で、毅然とした態度を取ることで、イランを増長させない効果が期待できます。

 「刺激」が元でイランが軍事行動を起こすことがあれば、イランにとって虎の子である核関連施設を攻撃される恐れが生じ自殺行為です。そんなことはしないでしょう。また、刺激しようがしまいが、軍事行動を起こす時は起こすものです。

ダンフォード氏は「米国が警戒活動を指揮する」と発言しています。具体的には何をするのでしょう。

香田:民間船舶の運航統制を考えているでしょう。自国の船を護衛する力のない国の民間船舶が、武装することなくペルシャ湾周辺を航行するのは好ましいことではありません。日本やNATO(北大西洋条約機構)加盟国の民間船舶の間に、こうした国の船を割り当てて航行すれば、これらにも警戒の目を及ぼすことができます。