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(写真:ISNA/AFP/アフロ)

 米国のダンフォード統合参謀本部議長が7月9日、ホルムズ海峡の安全確保などを目的とする有志連合を結成すべく、関係国と調整していると明らかにした。日本政府も打診を受けたとされる。日本はこれにどう対応すべきなのか。安倍晋三首相が取り組むイラン・米国の仲介に影響はないのか。海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた香田洋二氏に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

イランとの緊張が高まる中、米国が関係国との連携に動き始めました。

香田:今回の件で、強調しておきたいことが2つあります。1つは、ホルムズ海峡の周辺を航行する日本の民間船舶を守るのは誰なのか、をしっかり考える必要があること。日本の船舶に従事する船員の命を誰が守るのか、石油をはじめとするエネルギーの安定供給に誰が責任を持つのか、ということです。これはダンフォード氏に言われて始めるようなことではありません。この点について政府が議論していないとしたら、無責任のそしりを免れ得ません。

香田洋二(こうだ・ようじ)
海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた。1949年生まれ。72年に防衛大学校を卒業し、海自に入隊。92年に米海軍大学指揮課程を修了。統合幕僚会議事務局長や佐世保地方総監などを歴任。著書に『賛成・反対を言う前の集団的自衛権入門』など。(写真:大槻純一)

 2つ目は、今回、米国が提唱する有志連合は、アフガニスタン戦争やイラク戦争の時に結成されたものとは全く異なる性格のものです。この2つの有志連合は、それぞれの国に攻め込むことを前提にしていました。しかし、今回の有志連合はホルムズ海峡周辺の安全確保と、航行秩序の維持が目的。武力行使を意図とした有志連合ではありません。集団的自衛権を持ち出すなど、両者を混同した議論が見受けられます。

軍事行動の可能性は低い

 そもそもの話として、私は、米国もイランも軍事力に訴える可能性は低いと考えます。まずイランの側に立って考えてみましょう。イランにとって最悪なのは、国際社会の中で孤立することです。ホルムズ海峡で過激な行動を取れば、西側諸国などから経済支援を受けられなくなってしまいます。軍事攻撃を目的とする新たな有志連合の結成に正当な理由を与えることにもなりかねません。イランはそんなことはしないでしょう。