習近平総書記の党内基盤は盤石なのだろうか(写真:新華社/アフロ)
習近平総書記の党内基盤は盤石なのだろうか(写真:新華社/アフロ)

 中国共産党は、国民に対する公約として「2つの100年」の奮闘目標を掲げてきた。その第1の100年である「建党100年」を、7月1日に国を挙げて慶祝した。その式典において習近平(シー・ジンピン)総書記は「小康社会(生活に少しゆとりのある社会)を全面的に建設し、第1の100年の奮闘目標を実現した」と宣言した。

 ちなみに第2の100年は、中華人民共和国成立100周年の「建国100年」を指す。2050年ごろまでに「富強の、民主的で文明的で調和のとれた美しい社会主義現代強国」、つまり世界のトップグループに入る超大国をつくり上げることを目指している。

 今回の「建党100年」は、中国共産党がこれまでの100年を総括し、これからの100年を展望する機会でもあった。

期待された習近平路線の修正はなされず

 式典は、天安門広場において盛大に行われ、全中国に実況中継された。ネットもSNS(交流サイト)も、このニュースであふれた。中国共産党の行事が、あたかも国家の行事のように行われた。これに先立つ一時期、中国共産党は近代史に関する一大学習キャンペーンを展開した。歴史の総括として、共産党による統治は必然であり、中国国民の正しい選択であったことを党内外に向けて強調した。

 建党100周年における習近平重要講話に、筆者自身、ある程度の期待をしていた。内外の難問が山積する中で、例えば対外強硬路線など習近平路線の一部修正をなす可能性を示唆する動きもあったからだ。

 ところが、同総書記が実際に語ったのは、基本的には従来路線の継続であった(内政面では一部、新しい点はあった)。党の中でいろいろ議論が続いていたようなのだが、対外的に発表できる新たな合意には達しなかったようだ。これからも対米関係をはじめ、議論は続く、ということだ。

強硬発言を迫った複雑な党内バランス

 今回の講話の中で際立っていたのは、米国をはじめとする先進民主主義諸国からの“内政干渉”に強く反発する姿勢であった。習近平総書記自身の発言としては、これまでで最も直接的かつ好戦的な言い方をした。善意ある批判を歓迎するとしながらも「教師面した偉そうな態度での説教は絶対に受け入れない!」とし、米国などによる価値観の押しつけを激しく拒否する姿勢を示した。

 ただし、この部分を除けば、習近平政権の外交政策に何の変化もない。台湾問題に関しても、平和的解決を中心に据えており、一部報道にあるように「台湾に対する武力行使に一歩近づいた」ということはない。

 内政干渉に対する“好戦的”な発言は、習近平総書記の対外広報に関する発言と関連している可能性がある。同総書記は5月31の日発言において、中国の対外発信の現状を厳しく批判し、「真実の、立体的かつ全面的な中国像」を伝えるよう求めた。具体的には、対外発信の理論、組織、手段、内容など、あらゆる面において面目を一新することを強く望んだ。いわゆる「戦狼外交」の結果、中国への好感度が欧米を中心に急激に低下した現実を踏まえたものであった。

 政策自体は間違っていないが、その伝え方が悪いという論法であり、政策そのものを修正するものではなかった。それでも「現状を変えなければならない」という同総書記の強い意思は伝わってきた。

 しかし、この習近平発言は、中国社会、それも国粋的ナショナリズムを代表する層から強い反発を受けた。

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