
トランプ米大統領と金正恩委員長が事実上の第3回首脳会談を行った。ツイッターのメッセージを端緒として、わずか1日で、実務者協議の再開にこぎ着けた。朝鮮半島問題に詳しい武貞秀士氏は「今後、非核化協議は断簡的に進む。日本の存在感は薄くなった」と評価する。
(聞き手 森 永輔)
ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長が、南北軍事境界線にある板門店で会談し、非核化をめぐる実務者協議を再開することで合意しました。これをどう評価しますか。
武貞:事実上の、第3回首脳会談となりました。トランプ大統領は、2月の首脳会談が合意なしに終わったあと第3回首脳会談を開きたいとずっと考えていました。ただし、先に秋波を送ったのは、金委員長の方でした。6月上旬にトランプ大統領に親書を送り、トランプご大統領が返事の親書を送ったのです。

トランプ氏の軍事境界線越えで終戦宣言が浮上
そして、歴史的なことが2つ同時に起きました。第1は、トランプ大統領が、南北を分かつ軍事境界線を越え、北朝鮮の「支配地域」に足を踏み入れたこと。トランプ大統領が「軍事境界線を越えましょうか」と聞き、金委員長が「どうぞ」と答えたのです。
トランプ大統領の演出でした。トランプ大統領は、文在寅大統領が昨年4月、南北首脳会談の際に、境界線をまたぐことを金委員長から促されたことを知っていたので、金委員長を喜ばせようとしたのでしょう。
これは、米国の大統領として初めてのことです。ビル・クリントン大統領が2000年に訪朝すべく努力していましたが、かないませんでした。
もう1つの「歴史的」事件は、国政を担う首脳がツイッターを通じてメッセージを交換し、わずか1日の間に調整して、会うことができたことです。
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