朝鮮労働党が6月半ば、中央委員会第8期第3回総会を開催した(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)
朝鮮労働党が6月半ば、中央委員会第8期第3回総会を開催した(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

 北朝鮮の支配政党である朝鮮労働党が中央委員会第8期第3回総会を、2021年6月15~18日に開催した。これは1月の第8回党大会のときに開かれたものから数えて3回目の党中央委員会総会である。党中央委員会総会は、5年ごとに開催される党大会の間における朝鮮労働党の最高機関だ。次の第9回党大会は2026年の予定なので、それまで党中央委員会総会は党の最高機関として、年に1回以上開催される。

 1990年代以来、党中央委員会総会の開催日数は多くが1日であったが、2021年2月に開催された第2回総会と今回の第3回総会は複数日開催された。それだけ議題が重要であったからである。党中央委員会総会が複数日にわたって開催されるのはもはや異例ではなくなった。

 金正恩(キム・ジョンウン)時代になって、党中央委員会総会が初めて複数日にわたって開催されたのは、2019年12月であった。しかも、これは1990年1月以来、約30年ぶりに複数日にわたって開催されたものであった。党中央委員会総会が、複数日にわたって重要な議題を討議するようになったのは、実は最近のことなのである。

 さて、今回の党中央委員会総会の重要議題は、「国家経済発展5カ年計画」を策定し直して、その推進状況を見て評価することだった。同5カ年計画は、今年1月に開催された第8回党大会で決定し、推進しているもの。これが「消極的かつ保身主義的な傾向」があったので、策定し直して、その推進状況を見て評価するというものである。2月に開いた第2回総会で、金正恩は「経済作戦と指導で行き当たりばったり式の誤った活動態度を正」すようにとまで批判していた。

対米方針の重要度は低い、対話の進展は考えづらい

 しかし日米韓では、バイデン米政権の新しい対朝方針に対して、金正恩がどう反応するのかに注目する声が上がっていた。バイデンは「2018年の米朝首脳会談の合意をベースに進める」方針を示している。

 ただし、今回の中央委員会総会において、米国への対応はあまり重要な議題ではなかった。というのも、同総会の議題において、対外政策は3日目に取り上げる、全体で4番目の議題であったからである。

 労働新聞や朝鮮中央通信は、会議の翌日に会議の様子を簡潔に報道していた。その報道によると、1日目である6月15日に討議した議題は、(1)主要国家政策の上半期の実行状況総括と対策に関する問題、(2)今年の農業に力を総集中する問題、(3)長期化する非常防疫状況に徹底的に対備する問題であった。

 2日目である6月16日は、1日目の議題に対する分科別研究および協議会を開催した。このことから1日目の議題である(1)(2)(3)が最も重要であったことが分かる。

 3日目である6月17日に討議した議題は、(4)現在の国際情勢に対する分析と朝鮮労働党の対応方向に関する問題、(5)現状で人民生活を安定、向上させるために優先的に解決すべき問題、(6)朝鮮労働党の育児政策を改善、強化する問題。

 4日目である6月18日に討議した議題は(7)党指導機関メンバーの2021年上半期の党思想生活状況について、(8)組織(人事)問題であった。全部で8つの議題があり、対米政策は(4)であってそれほど重点を置いていたわけではない。

 バイデン政権に代わった現在、いまさら金正恩が対米対話を望んでいると期待するのは難しいだろう。金正恩は、今回の党中央委員会総会で、「わが国家の尊厳と自主的な発展・利益を守り、平和的環境と国家の安全を頼もしく保証するためには対話にも対決にも全て準備ができていなければならず、特に対決にはより手落ちなく準備ができていなければならない」と強調したとされる。この金正恩の演説を読んで、対話に力を入れていると考えることができるだろうか。

 もともと第8回党大会で、金正恩は米国を敵とみなしていることを隠さなかった。「対外政治活動を朝鮮革命発展の主な障害、最大の主敵である米国を制圧し、屈服させることに焦点を合わせ、志向させていかなければならない」と語っていた。また、党中央委員会第2回総会でも、金正恩は軍需産業と国防体制の強化を指示している。もともと米国に対する対決姿勢を鮮明にしていたのである。それが対話の準備もすると今回の党中央委員会総会で語ったところで、あまり期待できるはずもない。

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