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ブースターは、2017年12月にイージス・アショアの配備を閣議決定した当初は問題視されていませんでした。

香田:配備予定地が決まり、住民への説明が進む中で、住民から「ブースターが民家に落ちることはないのか」と問題提起されたのです。

香田洋二(こうだ・ようじ)
海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた。1949年生まれ。72年に防衛大学校を卒業し、海自に入隊。92年に米海軍大学指揮課程を修了。統合幕僚会議事務局長や佐世保地方総監などを歴任。著書に『賛成・反対を言う前の集団的自衛権入門』など(写真:大槻純一 以下同)

 公刊情報から判断すれば、防衛省は①配備基地の取得経費削減と②土地収用手続きの簡素化、③時間短縮というまさに正当な理由から、陸上自衛隊の演習地に配備することを前提にしたと考えられます。

 問題は、その後の地元説明の段階において、ブースターに関する防衛省の説明が、「(落下地点をコントロールすることは)実現可能です」となったことです。その理由は分かりません。

 しかし、「自衛隊の演習場に配備する」という防衛省の一方的な都合を最優先して、あってはならない説明が行われたのです。国民を守る防衛省が最優先しなければならないのは、住民の不安の解消です。「国民の疑問に真摯かつ透明性をもって答える」というあるべき姿とは正反対の対応になってしまいました。

 今回、河野防衛相が説明した内容は、専門家の立場から見れば、容易かつ十分に予見できたことです。高度の政治性を有する事業のため秘匿性を重視した防衛省内局が、一連の作業のほとんどにおいて、自衛隊の専門家の意見を十分に聴取するという基本的な事項さえ行わなかったのではないか、という疑問が湧くのは自然なことでしょう。

カタログだけでレーダーを選定

香田:第2に問題視しているのは、レーダーの選定がずさんだったことです。