新疆産綿花の農場(2018年10月資料写真)(写真:AFP/アフロ)

 今回は対中ビジネスの展望と、それをにらんで日本が着手しなければならない方策についてお話しします。

 在中国米国商工会議所が、中国でビジネスを展開する米企業の意識に関する非常に興味深い調査結果を発表しました。回答企業208社のうち94%が、2021年の中国市場の展望に明るい見通しを持っているのです。中国市場からの撤退を考えている企業はゼロ。

 回答企業の半数以上が「中国は最も重要な投資先」と考えています。再投資の拡大や、他の国から中国に投資をシフトする動きがある。理由は、中国市場が巨大でさらなる発展のポテンシャルがあること、中国政府が優遇政策で支援してくれること、中国以外の市場が依然として新型コロナ禍に直面しており、その対策にも不透明さが残ること、です。そして、大部分の回答企業が、今後3年間において中国ビジネスをさらに拡大すると答えました。

 米中両政府の対立が厳しさを増す中でも、米国企業が対中ビジネスに取り組む姿勢は衰えていません。

 米国の消費者を見ても中国製品に対する拒否感がありません。中国から米国への輸出実績を追うと、2020年1~3月期は新型コロナの影響で前年同期比25.1%減となったものの、4~6月期は0.7%増とプラス転換。7~9月期は17.6%増、10~12月期は34.3%増、そして2021年1~3月期は74.8%増と伸びました。米国も新型コロナ禍を受け消費の対象がサービスからモノにシフト、中国以外の国の製造業が新型コロナの打撃で生産を縮小せざるを得なくなったことなどの要因はあるものの、それを差し引いても、米中間の貿易は拡大する傾向にあります。

 以上から、米中間のデカップリングは不可能であることが分かります。両国は互いに不足する産品を補い合っています。中国は米国産の大豆や半導体を必要としているし、米国は中国産のスマートフォン、アパレル、日用品などの消費財を欲している。加えて、両国はいずれも巨大な生産力を有しており、代替できる国はありません。

 米国の世論も、中国とのデカップリングを望んでいません。中国による報復制裁で打撃を受けた米農家や企業の一部が2019年の夏ごろから不満の声を上げ始めました。クリスマス商戦になれば、これが一般の消費者にも波及するのは明らかでした。トランプ政権(当時)はこの不満の解消に努めざるを得なくなり、2020年1月、中国と第1段階の合意に至りました。中国側が輸入を大幅に拡大するのと引き換えに、米国は、既に実行していた第4弾の追加関税の税率を引き下げました。

 中国政府も、対立を緩和したい意向があるとみられます。中国の専門家によると、「戦狼外交を続ければ国際社会の反発を買い、中国が孤立する恐れがある」として、冷静な良識派の有識者を中心に「行き過ぎた対外強硬姿勢を見直すべきである」との意見が強まっています。4月16日に行われた日米首脳会談に関する中国国内の報道姿勢を振り返ると、その扱いは、非常に小さいものにとどまりました。中国政府の対日外交姿勢が若干柔らかくなっていると感じます。もちろん、米中関係が悪化している状況で、日本との関係まで悪化させたくないという思惑が働いている部分もありますが。

続きを読む 2/3 中国市場の真偽を自らの力で確かめる

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