ロシアによるウクライナ侵攻が、様々な産業のサプライチェーンを寸断している。特に影響を受けているのが、裾野の広い自動車産業だ。仏ルノーや独フォルクスワーゲンなど欧州勢のみならず、ロシアに工場を構えるトヨタ自動車も戦略の見直しを迫られている。

 日経ビジネスLIVEでは4月28日、日経クロステックと共同で、「供給網寸断と資源調達危機、ロシア・ウクライナ紛争が自動車産業にもたらすインパクト」と題したウェビナーを開催した。シンガポールを拠点に自動車産業の分析を続けるフロスト・アンド・サリバンの本多正樹氏が、特に供給が危ぶまれている部材は何か、完成車メーカーや部品産業はどのように戦略を再構築すればいいのかについて解説した。収録したアーカイブ動画とともにお伝えする。

(構成:森脇早絵、アーカイブ動画は最終ページにあります)

木村雅秀・日経クロステック副編集長/日経Automotive編集長(以下、木村): 本日は「供給網寸断と資源調達機器、ロシアとウクライナの紛争が自動車産業にもたらすインパクト」をテーマに、フロスト・アンド・サリバンの本多正樹さんにご講演いただきます。

 今回の紛争によって、様々な産業で供給網の寸断が起きています。この状況の中で、自動車産業は今後どのような戦略の見直しを迫られるのか、今回のウェビナーで探っていきたいと思います。ウェビナーの後半では『日経ビジネス』で自動車産業を担当する小原擁も加わりまして、視聴者の皆様から寄せられた質問を基に議論を深めてまいります。それでは本多さん、本日はよろしくお願いいたします。

本多正樹・フロスト・アンド・サリバンAPACモビリティ部門バイスプレジデント(以下、本多氏):本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは、ロシア・ウクライナの乗用車業界と紛争による影響の概要から解説します。

図1
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 ロシア・ウクライナ紛争による両国への経済の影響は非常に大きく、ウクライナは今年1月時点で、2022年のGDP成長率をプラス3.7%と見ていましたが、3月中旬時点ではマイナス25.5%に落ち込む見通しとなりました(図1)。4月22日に世界銀行が出した最新の予測によると、ウクライナ経済は前年比45%縮小するとのことです。ロシアも今年1月時点ではプラス3.1%の成長を見込んでいましたが、3月中旬時点ではマイナス11.5%と見ています。

 ただ、この紛争の影響はロシアとウクライナだけにとどまりません。グローバルのGDP成長率は今年1月時点でプラス4.5%を見込んでいましたが、3月中旬時点ではプラス3.4%と1ポイント以上下がると予想されています。

 ロシアからガスを多く輸入し、またロシアへの自動車部品の輸出も多いドイツのGDP成長率は、3.6%から1.6%まで下がる見通しです。日本や中国、米国、ブラジル、メキシコへの影響は、欧州諸国ほど大きくはないものの、GDP成長率の低下が予想されています。一方、サウジアラビアは原油価格高騰の影響で、2ポイント程度押し上げられています。

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