リーマン・ショック後の4兆元の景気刺激策とはずいぶん趣が異なりますね。当時は、実需を伴わない不動産投資など“空ぶかし”が目立ちました。今回の投資は、5G通信網など次なる需要を生み出すものを対象にしている。しかも、民間企業の投資活力を生かす手法です。

瀬口:おっしゃる通りです。まとめると、今年は当面、3頭立ての馬車が「1.5頭立て」になるイメージです。外需が1頭からゼロ頭に、消費は0.5頭、投資は1頭分のまま。

 それでも他国の経済に比べて回復が早く、力は強い。中国経済の復調を見込んで、現地で事業を展開する日本企業の7割が、2020年の投資計画を100%実行する意向を示しているという話も聞こえてきています。

日本企業はプレゼンスを維持

新型コロナウイルスが中国で感染し始めてから当面の終息に至るまで、中国市場における日本企業の動きはどうだったのですか。

瀬口:私はよくやったと見ています。東日本大震災の教訓を生かして、製造業がそのプレゼンスを維持しました。

どういうことですか。

瀬口:東日本大震災では、中国に輸出する各種部品などを製造する日本の工場が地震や津波による被害を受けました。この結果、サプライチェーンが断絶して、部品供給が停滞し、2~3カ月後に中国各地の工場の部品在庫が底を突き、生産ラインを止めざるを得ない状況に追い込まれました。同様の事態を避けるべく、日本の製造業は中国現地での部品生産能力を増強していました。このため、新型コロナウイルスのために人の行き来が制限され、日本からの輸出が難しくなっても、現地での生産を継続することができました。

 こうした対策の甲斐あって、大半の日本企業は中国市場におけるプレゼンスを失うことなく、事業を継続しています。

リスクは海外の感染動向と雇用

今後、中国経済が抱えるリスク要因は何になりますか。

瀬口:最大のリスクは海外の動向です。これには大きく2つあります。

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