ついに、トランプ対バイデンの構図がかたまったが…(写真:AP/アフロ)
ついに、トランプ対バイデンの構図がかたまったが…(写真:AP/アフロ)

 4月8日、民主党の大統領候補指名争いでバーニー・サンダース上院議員が「勝利は不可能」と敗北を認め、ついに撤退を表明。ジョー・バイデン前副大統領の指名が確実となった。今後は民主党が政権奪還に向けどの程度結束できるかが注目される……。2カ月前なら、こんな陳腐なコメントでも十分サマになったかもしれない。だが、COVID-19(新型コロナウイルスによる感染症)のパンデミックにより、今や米大統領選は大きく様変わりしつつある。

 通常なら、指名を確実にしたバイデンはサンダースや民主党左派の有力者と会合を重ね、秋の大統領選に向け挙党一致の政策調整を始めたいところ。激戦州の大規模集会にも頻繁に顔を出して、記者会見を繰り返し、リベラルなメディアを利用して「生まれ変わったバイデン」をアピールしたいだろう。ところが、米内政状況はこの2カ月で激変した。新型コロナウイルスのおかげでバイデン候補はCNNのテレビ番組にすら出番がなくなってしまった。

新型コロナ対策でメディアに出まくるトランプ

 これに対し、3月13日に国家非常事態宣言を発出した前後から、トランプは毎日のようにメディアに出まくっている。話す内容も少しずつではあるが進化してきた。少し前まで「ただの風邪だ」「いずれ消えていく」などと嘯(うそぶ)いていたのだが、最近ではペンス副大統領をトップとする新型コロナウイルス関連タスクフォースを作り、政権内の多くの医療・感染症の専門家とともに、記者会見やブリーフィングを精力的にこなしている。

 CNNやニューヨーク・タイムズなどリベラルなメディアを毛嫌いする姿は相変わらずだが、一昔前に比べれば「ようやく大統領らしく振る舞う」ようになったことは否定できない。実際に、新型コロナウイルスに関するトランプ発言は「信用できない」とする声が6割に達するとはいえ、CBSニュースは大統領の支持率が3月下旬に上昇に転じ、一時は53%にまで上昇したと報じた。

トランプの弱点も新型コロナ対応関連

 しかし、最近の米国内の感染者数、死者数の爆発的拡大で状況は再び変わりつつある。4月12日現在の感染者数は全米で50万人を、死者は2万人をそれぞれ超えている。同日のニューヨーク・タイムズ紙はトランプ政権の新型コロナ対策の経緯を丹念に調査し、「1月以来、トランプ政権は新型コロナの深刻さを過小評価し、政権内の多くの専門家の提言にもかかわらず、強力な施策をとらなかった」 と結論付けている。要するに、現在の爆発的感染拡大の最大原因はトランプの無策にあるというのだ。

 どうやら米国の有権者もそのことを徐々に理解し始めたようだ。CBSニュースが4月7~9日に行った世論調査によれば、トランプ政権の対応への不支持は52%、支持は47%で、過去3週間で初めて不支持が支持を上回ったそうだ。こうした傾向は今後も続く可能性が高いだろう。いずれにせよ、上述のニューヨーク・タイムズの記事は極めて興味深い。日本語訳はないが、ご関心のある向きはご一読を強くお勧めする。

続きを読む 2/2 今年の大統領選は大きく様変わりする可能

この記事はシリーズ「世界展望~プロの目」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。