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合意の新たなアイデアは出るか?

 だが、英国政府とEUが3月29日以降の延期期間中に、英国議会下院で過半数の議員を説得できる合意案を作り上げることができるかどうかは、未知数である。特に英国領の北アイルランドと、EU加盟国アイルランドの間の国境の扱い(バックストップ問題)には全く解決策が生まれていない。

 EUは、2つの地域の間の国境検査が厳格化されることで、北アイルランド紛争が再燃することを強く懸念している。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「合意案について英国政府と再交渉する気はない」と断言している。このため英国とEUは現行の合意案とは異なる解決策を見出さなくてはならない。

 つまり英国は、議会が延期申請を承認したことによって時間を稼いだだけであり、離脱の条件をめぐるEUとの対立はまだ解決できていない。

 延期期間中にバックストップ問題への答が見つからなかった場合、合意なき離脱の危険が再び頭をもたげる。その時、英国政府は離脱の再延期を申請するのだろうか。英政府と議会が右往左往してきたこれまでのありさまを振り返ると、BREXITに関する堂々めぐりが半永久的に続くシナリオも、現実味を帯びてくる。

欧州議会選挙に英国は参加するべきか否か

 さらに5月23日から26日にかけて欧州議会選挙が行われる。この時点で英国が離脱していない場合、英国民も欧州議会選挙に参加できることになる。これに対して「EU離脱を目指している英国の有権者を、欧州議会選挙に参加させるのか」という疑問の声が上がっている。

 いまEUは米国との貿易摩擦、対中政策の見直し、ロシアの脅威への対抗、経済のデジタル化など様々な課題、難題を抱えている。しかしBREXITへの対応に追われるあまり、これらの重要問題に本腰で取り組めない状況が続いている。

 ドイツ政府で「英国政府と議会は、一体何を望んでいるのか。自分たちの要望をEUにはっきり伝えるべきだ」という声が高まるのも、無理はない。欧州の混沌はまだ当分続くだろう。