トランプ政権は歴代の米国政権の中で初めてエルサレムをイスラエルの首都として承認し、同国の保守派を喜ばせた。(写真はエルサレムの嘆きの壁=筆者撮影)

 イスラエルで3月2日、総選挙が行われた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相が率いる保守党リクードが首位に立ったものの、現在連立を組んでいる右派政党の議席を合わせても、過半数を取れなかった。現地では早くも「4回目の選挙が必要か」という声が出ている。トランプ米政権は、イスラエルに大幅に肩入れした中東和平案を選挙直前に提案し、「援護射撃」を行ったが、ネタニヤフ首相の追い風にはならなかった。

またしても過半数確保に失敗か

 イスラエルの日刊紙ハーレツによると、3月3日夕刻(現地時間)の時点で、「リクードが36議席を確保。ベニー・ガンツ元イスラエル軍参謀総長が率いる中道野党連合 『青と白』(33議席)を抑えて首位に立った」

 ネタニヤフ首相は数千人の支持者を前に、「我々は強い逆風に抗して、偉大な勝利を収めた。連立政権を樹立する作業に早急にとりかかる」と満面の笑みをたたえつつ宣言した。

 一方、ガンツ党首は支持者に対し「みなさんが開票結果に失望していることは理解できる。これでは、イスラエルを正しい道に戻すことはできない」と落胆をあらわにした。

 イスラエル議会(クネセト)の総議席数は120。このため、ネタニヤフ首相は他の右派政党と連立して少なくとも61議席を確保しなくては、政権を樹立することができない。しかし3月3日夕刻の時点では、超保守政党、極右政党の議席数を加えても58議席にしかならず、過半数は確保できていない。

イスラエル総選挙の開票結果(3月3日現在・90%開票終了)
右派陣営(58議席)
リクード 36
シャス 9
ユダヤ・トーラ連合 7
ヤミナ 6
   
青と白 33(中道保守)
共同リスト 15(アラブ系・左派)
イスラエル我が家 7(世俗主義・右派)
労働党など 7(左派中道)
出所:ハーレツ

11カ月間に3回の総選挙

 開票結果が確定するのは1週間後になる。その後ルーベン・リブリン大統領が、最も議席数が多い政党の党首に、政権樹立を要請する。 

 イスラエルで総選挙が行われるのは、2019年4月と9月に続いて3回目。11カ月の間に、ほぼ5カ月ごとに総選挙が行われたことになる。しかも選挙戦は、ネタニヤフ首相とガンツ党首が互いに非難し合う泥仕合(mud slinging)だった。主要政党が2度にわたって連立政権の樹立に失敗した例は過去においてない。4月の選挙では、リクードと「青と白」の議席数が35で同数だった。また9月の選挙では「青と白」が33議席、リクードが32議席だった。しかしガンツ党首、ネタニヤフ首相ともに過半数の議席を集めて連立政権を構築することができなかった。

続きを読む 2/3 超保守政党に依存するネタニヤフ首相

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