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 2018年の株式市場は世界的に下落しました。理由は主としてトランプ大統領の政策です。貿易戦争を筆頭にトルコやロシアなどへの経済制裁、米連邦準備制度理事会(FRB)への圧力など、様々なトランプ氏の動きが、そのまま株式市場にとっての悪材料となりました。

 2019年もトランプ氏の動きが世界の株式市場にとっての最重要テーマであることに変わりはないと思いますが、昨年のそれのように悪材料一辺倒となるのでなく、逆に好材料となる場合もあると考えています。今回はトランプ氏の動きが、株式市場の好材料になるシナリオについて考えてみます。

2019年もトランプ氏の動向が世界の株式市場にとっての最重要テーマ(写真=ロイター/アフロ)

株価急落の主因はヘッジファンドの換金売り

 本題に入る前に、昨年末にかけての世界的な株式市場の急落と、今年に入ってからの反発について考えてみます。あれだけの急落が、年が変わると上昇に転じたので、あっけにとられた方も多かったと思います。世界の株式市場が年末年始を境に急落から上昇に転じた理由は2つあります。ヘッジファンドの売り一巡と米中交渉への期待感です。

 情報サービス会社ブルームバーグの報道によれば、昨年11月から12月にかけてヘッジファンドの閉鎖が多数あった模様です。閉鎖する場合、ヘッジファンドは顧客に資金を返還するために、保有する株式や債券などを現金化しなければいけません。そのための換金売りが12月に集中して起こったことが、世界的な株式市場の急落を引き起こしたと考えています。

 しかし、この2か月間は、ヘッジファンド閉鎖の報道は少なくなっています。筆者が見たのは1件だけなので、換金売りは既に一巡したと考えてよいでしょう。このようにヘッジファンドの換金売りが一巡したことにより、世界の株式市場は自然と下げ止まったと考えています。

米中交渉、進展の可能性

 売りがなくなったことにより、株式市場は下げ止まりましたが、それだけでは上昇しません。ここで株価を押し上げたのがもう1つの理由である米中の通商交渉が合意に達することへの期待感です。2月24日には米国が、3月2日に予定していた追加関税引き上げの延期を表明しました。貿易戦争が始まって以来、中国は景気の悪化、米国も景気の先行き不透明感や株価下落などの問題を抱えており、お互いこれ以上の対立の激化は望んでいないと思われます。長期的には貿易戦争はまだ続くかもしれませんが、今後は何らかの合意に達する可能性は高く、そうなれば、世界経済の不透明感も薄らぐと思います。これが株式市場が上昇に転じた理由であり、また2019年にトランプ氏の動きが世界の株式市場をに好影響を与える第1のシナリオでもあります。

政権無力化シナリオも

 第1のシナリオは、トランプ氏の政策の修正(通商政策の穏健化)を好感して株価が上昇するとのシナリオでしたが、2番目はトランプ氏の求心力が低下し、トランプ政権が無力化することを好感して株式市場が上昇するとのシナリオです。トランプ氏が、何もしない方が株式市場にはプラスということになります。

 足元の支持率は昨年10月を下回る水準まで低下し、予算と政府閉鎖を巡る騒動を見ても、求心力の低下は昨年10月より深刻と思います。こうなってしまった理由は2つ考えられます。中間選挙で下院の過半数を失ったことと、相次ぐ政権幹部の離脱の2つです。