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第2回米朝首脳会談がベトナムで開催される。北朝鮮とベトナムはともに一党独裁の社会主義国で親密な関係にある。このため北朝鮮はベトナムを開催地に選んだと報じられる。しかし、事はそれほど単純ではない。例えばカンボジア・ベトナム戦争において、北朝鮮は中国と結び、ヘン・サムリン政権を認めなかった。朝越両国の複雑な関係の変遷をたどる。
ベトナム戦争に参加し、戦士した北朝鮮兵の墓に詣でるベトナム人の元兵士(写真:ロイター/アフロ)

 米大統領のドナルド・トランプは、2019年2月5日夜に一般教書演説で第2回米朝首脳会談を2月27~28日にベトナムで開催することを明らかにした。さらに、米国の北朝鮮担当特別代表スティーブ・ビーガンと北朝鮮の代表、金革哲(キム・ヒョクチョル、元駐スペイン大使)が2月6~8日に平壌で協議したのを受けて、開催都市がベトナムの首都ハノイに決まったことを8日にツイッターで明らかにした。

 それにしてもベトナムは、米朝両国にとってずいぶん因縁の深い場所である。ここは1953年の朝鮮戦争停戦以来、朝鮮半島以外で米朝両軍が直接戦闘した最初の戦場であった。ベトナム戦争における1966年から1969年の間の出来事である。ハノイ上空も、戦闘地域に入っている。朝鮮戦争が第1回米朝戦争だとすれば、ベトナム戦争は第2回米朝戦争であった。この地が、第2回米朝首脳会談の開催地になるのである。

 ベトナムで米朝首脳会談が開催されるとなると、米大統領がベトナムを訪問することと関連して論じられることが多いが、米大統領のベトナム訪問そのものは目新しいものではない。ベトナム戦争後には、トランプだけでなく、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマがベトナムを訪問した。一方、ベトナムの最高指導者で訪米したのは、現在のグエン・フー・チョンだけである。それでも、今ではベトナムは米国の友好国として認識されている。

 一方、北朝鮮の最高指導者のベトナム訪問となると、公式には1958年11月28~12月2日の金日成(キム・イルソン)の訪問が最後である。これは前年である1957年7月にベトナムの最高指導者であったホー・チ・ミンが北朝鮮を訪問したのを受けてのことであった。

 ただし、金日成は1964年11月に隠密にハノイを訪問したことがあるという。当時の北朝鮮の報道には出てこないが、北朝鮮とベトナム両方から情報が出てきたので間違いないようである。訪問日までは特定できていない。韓国は1964年10月に訪問したと報道しているが、誤りのようである。

 金正日(キム・ジョンイル)はベトナムを訪問しなかったので、金正恩(キム・ジョンウン)のベトナム訪問が実現すれば、約54年ぶりに北朝鮮の最高指導者がベトナムを訪問することになる。

 ベトナム最高指導者の北朝鮮訪問も、ホー・チ・ミン以来、2007年10月16日にノン・ドゥック・マインが北朝鮮を訪問するまでなかった。これは、北朝鮮とベトナムの関係が順風満帆ではなく、関係が悪化した時期すらあったことを示している。実際、北朝鮮とベトナムの関係はどのようなものであったのか?