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今こそ国際協調の時

 習近平政権は「中国の夢」に代表されるようにナショナリズムの傾向が強い。SARSのとき、温家宝総理はWHO(世界保健機関)の会合にも出たし、WHOの専門家の中国視察も認めた。SARSが中国以外にも拡大し被害が大きかったからでもある。今回は圧倒的に中国の問題であり、中国に自分で処理する実力があるのだから、「自力更生」ということになるのだろう。しかし感染症は、人類として共に対処しなければならない、まさに国境を越える問題なのだ。習近平政権が唱える人類運命共同体の理念に従えば、中国として国際協力を強調し行動する格好の機会である。だが、その気持ちはあまり伝わってこない。

 今回の新型肺炎の経験を通じて、中国は自分を見つめ直して国際社会と向き合う必要がある。国民との信頼関係は、基層の組織とコミュニティーを自分で考え行動できるものに作り替えることで取り返すことができる。何でも上からの指示で解決するやり方の限界が分かったはずだ。自立した基層組織とコミュニティーを作り上げることが、実は王道なのだ。

 中国は、世界から学ぶものがまだまだ多く、世界と密接な関係を持つことでこれからも発展できることを再認識すべきである。国際社会との協調であり、協力である。中国が中心になって世界を引っ張ることはしばし脇において、世界と協力し合いながら、共に考え発展する道を探求すべきではないだろうかとしみじみ思う。