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弾劾裁判で無罪となり、会見するトランプ大統領(写真:AP/アフロ)

 2月3日から始まった1週間は、一般教書演説と弾劾裁判の評決が続き、「トランプ週間」となった。米国政治に詳しい前嶋和弘・上智大学教授は、一連の政治イベントが示したのは分極化と政策不在と見る。こうした状況は「米国民だけでなく世界にとって悲劇だ」(同氏)。

(聞き手 森 永輔)

2月3日から始まった1週間は「トランプ週間」になりました。4日には一般教書演説。5日には弾劾裁判の評決。これらのイベントについて、その評価と展望をお伺いします。そして最後に、米民主党の大統領選候補者レースについてお聞きします。38歳の新星、ピート・ブティジェッジ氏が予想外の大躍進をしました。

 まずは弾劾裁判。前嶋さんはどこに注目しましたか。

前嶋:大きく3つあります。第1は分極化、すなわち党派性がその極みに達したことです。

前嶋和弘(まえしま・かずひろ)
上智大学総合グローバル学部教授。専門は米国の現代政治。中でも選挙、議会、メディアを主な研究対象にし、国内政治と外交の政策形成上の影響を検証している(写真:加藤 康)

 米国の議会は日本の国会と異なり、党が議員に党議拘束を課すことがありません。よって与党である共和党の上院議員が、トランプ大統領の有罪に賛成してもかまわないわけです。けれども、そうした議員はミット・ロムニー氏一人にとどまりました*。共和党支持者におけるトランプ大統領の支持率はギャラップの最新の調査では9割に上ります**。1月に改選控えている議員はこの票を捨てるわけにはいきません。

*:同氏はトランプ大統領の「権力乱用」について有罪票を投じた。議会妨害については無罪票を投じた
**:ギャラップでは政権発足以来最も高い49%の支持。ただ、内訳は共和党支持者が94%、民主党支持者が7%とさらなる分極化が加速。その差は驚異の87ポイント差でこちらも就任以来最大。