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金融リスクを回避すべく、改革を決意する習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)

 中国経済に関するネガティブな報道が相次いでいる。だが筆者は、2019年の中国経済は減速が続くものの急落することはないとみている。前年同期比6.2~6.3%の成長は実現できる見通しである。それと同時に重要なのは、習近平政権が構造改革を固い決意で取り組み続けることだ。

 もちろん、この二兎を追うことは決して容易ではない。構造改革は経済成長にマイナスの影響を与える。しかし、習政権は今後数年間にわたり、明確な成果を生み出すまでかなりの確度でやり抜くだろう。

 6.2~6.3%の成長を見込むのは、雇用の安定が個人消費を支えていることが大きい。2018年は前年末に自動車向けの優遇税制がなくなった 影響を受けたが、2019年はこのマイナス要因がなくなる。政府も適宜、インフラ投資でテコ入れしている。輸出も、後半にはある程度持ち直すだろう。

 2019年に6.2~6.3%の成長を達成できれば、習近平政権が掲げる「2020年までに国内総生産および国民の平均収入を2010年の倍にし、国民の生活水準と質を高め、貧困人口をゼロとし、生態環境の質を全体として改善する」との目標の達成がほぼ確実となる。2020年の成長率が6%強であれば達成できるからだ。2019年は改革推進の副作用に米中摩擦の悪影響が加わり、厳しい政策運営を強いられるが、2020年になるとそれらのマイナス要因は小さくなり、成長率を確保しやすくなると考えられている。それゆえ、習近平政権は気持ちに余裕をもって構造改革を推し進めることができる。

バブルの元凶を絶つ

 構造改革は大きく二つの柱からなる。一つは金融リスクの防止、すなわち、バブルの元を絶つことだ。バブルを引き起こしかねない元凶は二つある。一つは地方政府の財政だ。

 中国政府はリーマンショックの後、その回復を図って4兆元の大型景気刺激策に踏み切った。これを受けて地方政府は盲目的な土地開発に邁進。中国経済のウォッチャーたちはこれ以降、不動産バブルがいつ崩壊するかと、目を凝らして市場をみてきた。

 しかし、中国政府はバブル崩壊を起こすことなく在庫調整を進め、2018年半ば、ついに適正水準を達成した。だが、適正水準になったがゆえに、新たな投資を促す声も上がる。気を抜けば、またすぐに価格高騰、過剰な開発投資を起こしかねない状態だ。

 中国政府はこの状態の改善を目指し、融資平台から地方政府への不健全な資金流入を止め、銀行貸出に対する管理を強化している。同時に、それぞれの地方政府の信用力に応じた、適切な規模の地方債を発行できるようにする。

 第2の元凶は、シャドーバンキングやネット金融において横行する不健全な資金供給の仕組みだ。中国の銀行は民間の中堅・中小企業向け融資に力を入れてこなかった。信用力の高い国有企業や大手民間企業には融資をするものの、民間中堅・中小企業の信用力を審査する能力を欠いている。中堅・中小企業の側に透明性の高い財務諸表をつくる体制がないことも、中堅・中小企業向け融資が拡大しなかった理由に挙げられる。このため、中堅・中小企業は銀行融資ではなくシャドーバンキングやネット金融に頼らざるを得ない状況になった。

 シャドーバンキングおよびネット金融は急拡大する過程でさまざまな問題を生み出してきた。一部の悪徳業者は集めた資金を持ち逃げした。融資を焦げ付かせ、不良債権を抱える業者も後を絶たなかった。

 中国政府はこうした不健全なシャドーバンキングやネット金融を排除するとともに、当局による厳格な管理監督下で必要な資金を中堅・中小企業に対して健全かつ円滑に供給する仕組みづくりを推し進める意向だ。