習近平国家主席は小康社会を実現し、民衆を満足させることができるか(写真:新華社/アフロ)
習近平国家主席は小康社会を実現し、民衆を満足させることができるか(写真:新華社/アフロ)

 2019年、世界は大きな変化の真っただ中にある。グローバリゼーションの大成功が激しい副作用を生んでいるのだ。先進国は大きく動揺し内向きとなり、グローバリゼーションの最大の恩恵を受けた中国の台頭が、米中の摩擦を激化させている。

 そのような国際情勢の大変動の中で、中国は2019年を迎えた。国内は依然として多事多難。それどころか、1990年代初め以来、久しぶりに“超”多難の年を迎えている。ちなみに1989年には天安門事件が起こり、91年にはソ連が崩壊している。

 中国のかかえる問題は多い。数え上げるときりがない。だが、いつもそうであり、それが“常態”なのだ。それらを並べ上げれば、中国は危ないという結論になる。それでも中国は着実に前進を続け、ついに米国の地位を脅かす世界大国となった。

 やはり中国共産党は並大抵の政党ではない。その統治能力を過小評価するべきではない。日本人から見れば問題だらけでも、中国では問題とならないケースも結構あり、判断基準が違うのだ。中国では、ある程度の結果が出れば、それで成功だ。それほど初めから大きく曲げておかないと方向転換はできないのだ。だから、公約から見れば大したことのない結果でも方向転換はできる。それを40年間、積み上げ今日まで来た。

 もちろん古い問題はまだ残り、新たな問題も次々に登場している。しかもその変化は速いし難易度も高まっている。その挑戦に共産党が敗れる可能性は常にある。しかし中国共産党の統治能力は高いということを前提に情勢判断をしておいた方が無難だ。

国民は「第1の百年」の約束を忘れていない

 2019年は、新中国成立70周年に当たる。そして中国共産党が国民に約束した「第1の百年」、つまり中国共産党成立100周年までに「全面的小康社会」をつくり上げるという目標の達成まで、あと1年を残すだけとなった。この意味で今年はカギとなる1年なのだ。習近平国家主席と中国共産党にとり、これが本年の最大の政治課題となる。

 共産党はこの「全面的小康社会」の目標を、2002年に提起して以来、中国の現実の発展状況に合わせて、その中身を修正してきた。習氏は2015年に、この目標を「2020年までに国内総生産および国民の平均収入を2010年の倍にし、国民の生活水準と質を高め、貧困人口をゼロとし、生態環境の質を全体として改善する」という内容にした。

 これを実現できなければ習氏の権威は失墜する。どんな結果になっても成功だと強弁はできるが、成功したかどうかは国民が一番よく知っている。だから習氏は北京のPM2.5による環境汚染を改善するために自らが陣頭指揮をし、ここ数年で顕著に改善させた。その背景には、そういう事情があるのだ。

続きを読む 2/2 権力集中が抱えるジレンマ

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