2019年は、政治面で米国の「分断」がより顕著になった年だった。ドナルド・トランプ大統領が目の敵にする中国との溝は深まり、制裁関税などを立て続けに発動したことで産業界も地域的な分断を余儀なくされた。制裁の矛先はカナダやメキシコなどの同盟国にも及び、両国とは北米自由貿易協定(NAFTA)に変わる協定の締結で落ち着いたものの、両国に心理的ダメージは残る。

 20年の行方は大統領選なしには語れない。年明けにトランプ大統領の弾劾裁判が上院で開かれる見通しだが、与野党の攻防はもうしばらく続きそうだ。

19年11月11日のベテランズデー(復員軍人の日)でニューヨーク市を訪れ、演説をしたトランプ大統領
沿道で国旗を手にベテランズデーのパレードを待つ米国市民たち。トランプ派と反対派の間で口論になる場面も見られた

 というのも弾劾訴追を決定した下院のナンシー・ペロシ議長が12月時点で弾劾決議をまだ上院に送付していないためだ。送付してしまえば共和党が多数を占める上院ですぐさま無罪の判決が下ると考えられる。判決までの時間を長引かせることで、トランプ大統領に不利な情報をより多く国民の目にさらそうとしているのだ。日本の国会の牛歩戦術に似ている。

 一方でやり過ぎれば命取りにもなりかねない。ロイター通信と世論調査会社のイプソスが12月中旬に実施した調査によると、「(トランプ大統領が)罷免されるべき」と答えた人は全体の42%で過半数を下回った。判決を遅らせる行為がもともと罷免を望まない人々の心理を逆なですれば、今度は民主党が不利な情勢に陥る可能性がある。

 「罷免されなければ、トランプ大統領の勢力は増すだろう」。こう予想するのは、国際政治に詳しいユーラシアグループ社長のイアン・ブレマー氏だ。勢いが増せば20年11月の大統領選で当選の可能性が高まる。24年まで「トランプ流」が続くかもしれない。

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