AI(人工知能)の有力な国際学会である「NeurIPS」が2019年12月8日から1週間にわたりカナダのバンクーバーで開催された。

NeurIPS 2019の会場となったバンクーバーコンベンションセンター(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)
NeurIPS 2019の会場。大会場に採択された論文を張り出して、交流している

 今年で33回目となるNeurIPSは、AIを実現するための最重要技術である、データの中からパターンを見つけ出す機械学習(マシンラーニング)、多層の回路で特徴を取得する深層学習(ディープラーニング)を主体とする学会である。国際的な学会では一般に論文の採択率は20%といわれるが、NeurIPSはそれよりも厳しく、およそ15%だ。

 AIブームを受けてNeurIPSの参加者は年々増加。2018年には参加チケットが発売から12分で完売する事態となった。2019年は抽選制として1万5000人が応募し、前年比で5割増の約1万3000人が参加した。

 NeurIPSは一線のAI技術者が集まることから各社によるハイヤリングの場にもなっている。併設の展示会場にはGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)、米マイクロソフトや米IBMがブースを構え、人材獲得に乗り出していた。特にグーグルは、「AlphaGo」を開発したことで有名な英ディープマインドのほか、自動運転システムの米ウェイモなどグループの各企業が大きなブースを構えていた。

 NeurIPSのような学術の場にも米中対立の影響が及んでいる。

 カナダ政府は米国政府の要請を受けて昨年12月、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)を銀行詐欺などの容疑で拘束した。その舞台となったのが、バンクーバーの空港だった。

 NeurIPSのようなAIの学会において、今や中国の研究者の存在は欠かせない。ところが中国の研究者のカナダへの渡航ビザが下りないケースが続発している。記者が出席したAIによる課題解決のコンペティションでも、上位入賞者のうち中国系2チームのビザが下りずビデオでの参加となっていた。参加したあるAI技術者は「中国以外に住んでいても、出身が中国ということでビザが下りないケースがあると聞いている。論文のポスター展示も時々空いている場所がある」と言う。

 こうした中、目立たぬよう、会場近くのホテルの宴会場で招待制で行われたパーティーがあった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1373文字 / 全文2327文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「特派員レポート」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。