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 「会社を変革して革新的なビジネスを生み出そうとするなら、どうすれば『カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)』を再発明できるかを考えるべきだ」

 米アマゾン・ドット・コムでクラウド事業を担当する関連会社アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)。米ラスベガスで12月初旬に開いた開発者会議でAWSのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は、基調講演の中で何度も「カスタマーエクスペリエンス」という言葉を繰り返した。

19年12月3日、AWSの開発者会議「AWS re:Invent 2019」で基調講演に立つジャシーCEO

 アマゾンの傘下にあるためAWS自体が大きな注目を集めることはそれほどないが、AWSは「超・急成長企業」だ。18年の年間売上高は256億ドル(約2兆8000億円)で、営業利益は73億ドル。売上高営業利益率は3割に迫り、収益面ではアマゾン全体の屋台骨を支える。

 なぜこれほどスピーディーに成長できたのか。開発者会議を取材する中で見えてきたのが、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが構築してきた「成長の方程式」だ。これをAWSも徹底して実践している。

全ては「顧客」から始まる

 成長の方程式の原動力に位置づけられているのが、「カスタマー(顧客)」の存在だ。前述したジャシーCEOの講演では、約2時間半で実に100回以上、カスタマーという言葉が登場した。単純計算で90秒に1回は口にしていたことになる。

 アマゾンウェブサービスジャパンで技術部門を担当する瀧澤与一氏にその理由を聞くと、そもそもアマゾンは「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」をミッションに掲げているからだという。だが、そんな会社はごまんとある。アマゾンと、成長したくてもできない会社の差はどこにあるのか。