「BtoBとBtoCの両刀」で家庭に浸透

 ビヨンド・ミートは現在、業界の中で抜群の知名度とブランド力を持つとされる。利益こそまだ出していないが、18年1~12月期の売上高は8793万ドルで、17年1~12月期の3258万ドルから倍以上に伸ばす急成長を遂げている。生活必需品と小売りをを担当するブルームバーグのアナリスト、ジェニファー・バータシャス氏によると、この成長を支えるのが、多くの消費者が同社に対して抱いている「ロイヤルティー」だという。

 同社は競合と異なり、スーパーマーケットに商品を置いてもらう「BtoC(消費者向け)」の販路と、レストランなどに食材を卸す「BtoB(企業向け)」の販路の両方を同時に開拓してきた。これがミソだとバータシャス氏は分析する。

高級スーパー「ホールフーズ・マーケット」に提供しているビヨンド・ミートの商品。自宅で焼くだけで本物そっくりのパティが出来上がる
高級スーパー「ホールフーズ・マーケット」に提供しているビヨンド・ミートの商品。自宅で焼くだけで本物そっくりのパティが出来上がる

 「スーパーで商品を目にした消費者がレストランでもビヨンド・ミートの名前を目にする。実際に食べてみるとおいしいので、スーパーでもレストランでもビヨンド・ミートを選ぶ。『初めて食べた代替肉がビヨンド・ミートの商品』という消費者にとり、その味が代替肉の基準となり愛着となる。ビヨンド・ミートはこの戦略で消費者のロイヤルティーを勝ち取り、ブランド力を向上させようとしている」(バータシャス氏)

 現在、代替肉の市場には前出のインポッシブル・フーズのようなベンチャーだけでなく、食肉大手の米タイソン・フーズやスイスのネスレなど大手食品会社も参入し始めている。こうした後発には簡単には追随されないブランド力をビヨンド・ミートは築こうとしているのだ。

初めからテスラを意識?

 顧客とのつながりが強いのはテスラも同じだ。EV(電気自動車)を購入したことのなかった消費者がスーパーカーのような外観に魅了されてテスラ車を購入したケースは多い。テスラ車を通じてEVの良さを実感する消費者が増えたことで、エンジン車が主流だった自動車業界でEVの存在感は徐々に増していった。テスラが自動車業界に「破壊」をもたらしたわけだ。

 ビヨンド・ミートが果たした役割もそう。代替肉は何十年も前から存在していたが、「コストは高いし、味も本物とは違う。売れるわけがない」というのが業界の常識だった。この常識を破壊したわけだ。

 興味深いことにビヨンド・ミートの創業者で最高経営責任者(CEO)のイーサン・ブラウン氏は以前、燃料電池メーカーに勤務していた。その後、動物愛護活動に興味を抱いたことから同社を創業したというが、もしかするとテスラのビジネスモデルを念頭にビジネス戦略を練ったのかもしれない。

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