テキサスを制すもの、全米を制す

 さらに店頭でレーンに載せて回転させるすしも店舗によって「180度、変えている」(姥CEO)という。すしを食べなれているカリフォルニア州では、日本と同じように握りずしの人気が高いが、あまり食べなれていないテキサス州の店舗だと、巻きずしを食べる人が多い。そこで、メニューの品ぞろえはどの店舗も同じにしながらも、レーンに載せる商品の内容を大きく変えてロスを減らし、利益率を高めている。

 「すしを食べなれていない人の多いテキサス州で成功したことが自信につながった。これで全米各地に進出する準備が整った」(姥CEO)。23年度までに現在の店舗数を倍にする計画で、長期的には全米で290店舗を目指す。

 なお、現時点で東海岸に店舗はないが、19年内にマンハッタンからハドソン川を隔てて隣接するニュージャージー州フォートリーに新店舗をオープンさせるという。細かな米国店舗改善の内容は、ぜひそのオープン時に取材してご報告したい。

回転すしならではの「成長の壁」

 ここで頭をもたげるのが、州の特性に合わせるという手間のかかる「ローカライズ手法」で、果たしてマクドナルドやスターバックスのような超大企業を目指せるのか、という点だ。冒頭で田中社長が示唆していたように、米国市場で多店舗展開を成功させなければ世界市場での成功も遠のく。くら寿司が進出しているのは現時点で米国と台湾のみだからだ。

 多店舗展開を図るうえで、ハンバーガーやコーヒーと違って回転ずしの業態はやっかいだ。ベルトコンベヤーの大掛かりな設備を備え付ける必要があるため店を開く物件が限られるばかりか、いったん設置してしまうと居ぬき物件として活用しづらいため家主も簡単には貸してくれない。回転ずしが日本ほど普及していない米国ならなおさらだ。

19年7月にオープンしたばかりのネバダ州ラスベガス店
19年7月にオープンしたばかりのネバダ州ラスベガス店

 さらにくら寿司の場合、独特の運営手法に強みがあり、フランチャイズ化しづらいのも難点だ。マクドナルドはもちろんライバルのスシローがフランチャイズを活用して事業の拡大を図ろうとしているのに対し、くら寿司は基本的に直営を貫く。

 一方で、フランチャイズ化が企業の成長に不可欠かというとそうとも言い切れない。スタバが好例だ。

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