アサヒグループホールディングスは7月19日、ベルギーのアンハイザー・ブッシ ュ・インベブのオーストラリア事業の買収で基本合意したと発表した。買収額は約1兆2000億円。対象となるインベブの豪子会社「カールトン&ユナイテッドブリュワリ ーズ」は、オーストラリアで5割弱のシェアを持つ。

 アサヒは海外事業を拡大している。事業利益(国際会計基準)に占める海外の比率は、買収によって単純合計で5割に高まり、収益基盤の多角化を評価する声もある。自己株式の活用を含む普通株式で最大2000億円の調達を予定し、株式の希薄化が懸念されることから、株価は一時9%下落した。

 実はアサヒの海外展開は、世界最大のビール会社であるインベブの経営事情に寄るところが大きい。同社がアサヒに事業を売却するのは初めてではない。2016年と2017年にはイタリアの「ペローニ」やチェコの「ピルスナーウルケル」をアサヒに売却し、今ではアサヒの大きな収益源になっている。

インベブ、買収で世界一に登りつめる

 インベブは買収で世界一に登りつめた企業だ。ビールのホームタウンを自任するベルギー・ルーベンに本社を置くが、源流はベルギーの他にブラジルにもある。3人の著名ブラジル人投資家が経営する投資銀行バンコ・ギャランティカだ。ギャランティカがブラジルのビール会社を次々と買収し、アンベブという社名でブラジル最大手のビール会社になる。

 2004年、ベルギーのインターブリューと経営統合し、インベブを発足。08年にバドワイザーを持つ当時の最大手米アンハイザー・ブッシュ(AB)を約520億ドル(約5兆7000億円)で買収し、現在の社名となった。

ビール最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブはベルギーに本社を置く
ビール最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブはベルギーに本社を置く
 

 1989年からブラジルの源流会社の最高経営責任者(CEO)を務めてきたのが、インベブCEOのブラジル人のカルロス・ブリト氏だ。ブリト氏が世界から大きな注目を集めたのが、16年に英SABミラーを710億ポンド(約9兆4000億円)で手に入れたことだ。こうした買収によって、「バドワイザー」や「コロナ」「ステラ・アルトワ」など200以上のブランドを持つ巨大ビール会社が誕生した。M&A(合併・買収)を駆使して拡大してきたことから投資ファンドのようだと業界では言われている。

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