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 7月中旬、取材でテキサス州ダラス郊外のプレイノという街にあるトヨタ自動車の北米本社を訪れた時のこと。立派なトヨタの社屋の真裏に、面白い販売手法を取り入れている中古車販売会社があるというので取材の合間を縫って見に行ってみた。「自動販売機で中古車を売っている」という。

顧客が引っ切り無しに訪れるので長い間、クルマを停めていられなかった。手前が顧客サービスをする場所で、奥がうわさの“中古車の自販機”
販売する中古車が7層に分かれるガラス張りの自販機に納められていた。もう売れてしまったのか、空になっているスポットも多かった

 この“中古車の自販機”を展開するのは、オンライン中古車ディーラーの米カーバナ。2012年に創業し、17年4月にニューヨーク証券取引所に上場した企業だ。18年の売上高は19億6000万ドル、販売台数は9万4108台。19年1~3月期は売上高が前年同期比110%増の7億5520万ドル、販売台数は同99%増の3万6766台と急成長を遂げる。株価もこの2年間でおおむね上昇傾向にある。まさに注目株だ。

18年末に過剰評価の懸念から売られたが、19年2月末に18年通期の決算が発表されると株価を戻し、その後は横ばい傾向。ヤフーファイナンスより(©2019 Verizon Media. All rights reserved.In partnership with ChartIQ)

自販機は本当に要るの?

 そんな大躍進中のカーバナには申し訳ないが、自販機を見てネガティブな疑問が次々と頭に浮かんできた。1つは販売する中古車を立体駐車場(自販機といってもつまりはこういうことだ)にわざわざ入れるのは効率が悪くないかということだ。

 というのも、辺りを見渡すと、自販機の周囲の駐車場にたくさんのナンバープレートの付いていない中古車が置かれていたからだ。あまりにその車両が駐車場を占拠しているため、顧客が運転してきたクルマを止めるスペースを探してぐるぐると回り続けなければならないほど。ナンバープレートの付いていないクルマは、自販機にまだ納めていない販売前の商品と考えられる。わざわざ自販機に出し入れせず、それをそのまま顧客に引き渡した方が明らかに効率がいい。本当に自販機は必要なのだろうか。

 顧客はまずカーバナのサイトかスマートフォンのアプリケーションでお気に入りの中古車を見つけ、購入を済ませた後、2通りの方法のどちらかで商品を受け取る。1つが全米19カ所にある上記のような自販機まで取りに行く方法。もう1つは無料の配達サービスを使って自宅まで届けてもらう方法だ。