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ディーラーに行く煩わしさを解消

 ところが、多くの地元メディアや批評家たちの見解を見てみると、この自販機がどうやらカーバナの成長を支える「キーアイテム」らしい。米国の販売店、特に中古車の販売店に行くと、販売員に猛烈に勧誘されるだけでなく価格交渉も必要になり、煩わしさは否めない。20~30代を中心とするミレニアル世代はこれを嫌がる傾向があり、簡単な手続きで車両の引き取りができるカーバナの自販機は喜ばれるのだという。カーバナのサイトでは価格がすでに確定しており、値下げの交渉はできないが、逆にこれがプラス要因になっている。

 大きな円盤のようなコインを自販機に入れると、目当ての車両がエレベーターに乗って出口まで運ばれてくる様子をガラスの壁を通して見ることができるのも、「インスタ映え」を好む世代には受けているようだ。投資・財務ニュースサイトのインベスタープレイス・ドットコムによると、テネシー州ナッシュビルの市場では、カーバナが自販機を設置した後、同市場における同社のシェアが6カ月で設置前の2倍に伸びた。

 とはいえ、やはり自販機の設置コストは高額になる。オンラインのみで市場参入する時のコストが50万ドルであるのに対して、自販機を設置するコストは10倍の500万ドルにもなるという。そこで2つめの疑問が浮かぶ。消費者がクルマを所有する時代から使用する時代へ変化する中、中古車市場に成長の余地はあるのだろうか。

 新しい手法で業界をディスラプト(破壊)できたとしても、成長余力に限界があるのではないかと思ったのだ。

「勝者」のいない中古車市場

 これについてはアナリストらが最も疑問に感じる点らしく、カーバナが18年11月に公開したアナリスト向け資料で答えを見つけることができた。それが下のグラフだ。

 この図が示すのは、米国内で展開する小売りの分野別トップシェア企業の占有率だ。一般量販店ではウォルマートが54%で首位。家電量販店ではベストバイが40%でトップ。ところが自動車ディーラーとなるとカーマックスの2%が最も大きなプレーヤーになる。同じ資料によると17年の自動車ディーラーの市場規模は1兆230億ドルでほかのどの分野よりも大きかった。つまり、このシェアを奪い取れさえすれば、まだまだ成長の余地があるということだ。

 さらに調べていくと、同社の本当の強みが自販機という「ギミック(小道具)」に終わらないことが分かってきた。カーバナの長所はむしろ、ネットで購入した商品が最短翌日に届くという迅速な購入プロセスの方で、肝は自動車ローンの与信の簡素化にあると考えられる。