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グローバル企業は欧州域外出身者を積極登用

 現在、ドイツ銀行のコーポレートガバナンス(企業統治)体制は、経営を監督する監査役会(Supervisory Board)と、執行を担う取締役会(Management Board)に分かれている。取締役会のメンバーはドイツ人が6人、欧州出身者が3人で、欧州域外出身者は1人もいない。特に取締会トップのゼービングCEOはドイツ人であるほか、監査役会のアハライトナー会長はオーストリア出身で、ドイツに非常に近い存在である。同会長は米投資銀行ゴールドマン・サックスにも勤めていたが、担当はドイツだった。

 今や欧州のグローバル企業にとって経営陣の多様性は不可欠となっている。多くの企業が経営陣の多様性を示すために、ガバナンスの資料に国籍や出身地を記している。例えば、ドイツ銀行と並びドイツを代表する企業であるシーメンスの取締役には欧州域外の出身者がいる。ヘルスケア大手の蘭フィリップスのCFO(最高財務責任者)はインド人で、金融関連でも蘭INGのCFOはタイ人だ。

 ドイツ銀行は買収などでグローバル化を進めていったが、マネジメントのグローバル化は進まず、特に米国でのリスク対応を遅らせた。

 また、組合があまりに強いという側面も見逃せない。昨年、ドイツ銀行はコメルツ銀行との経営統合を試みた。だが、経営統合に伴う人員削減を恐れた組合が、統合に強硬に反対し、破談に追い込んだ。皮肉なことに、自力再建の計画によって1万8000人もの人員削減を迫られてしまった。

 ドイツ銀行は、リストラで筋肉質な経営体制にする考えだが、予断は許さない。かなり前から経営不振は顕在化しており、今すぐ欧州の金融システムに影響を及ぼすことは考えにくいが、欧州中央銀行(ECB)の超低金利政策など逆風は強い。ドイツ銀行が今回の再建策をまとめるのに、かなりの時間がかかった。経営陣は変化対応のスピード感が求められている。