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 ドイツ銀行の経営不振が続いている。

 2017年まで3期連続で最終赤字となり、18年からは経営不振を打開するために、独コメルツ銀行など他行との合併や公的支援などが取り沙汰されてきた。

 だが、こうした“救済策”はまとまらず、19年7月上旬には株式売買業務からの撤退や、投資銀行部門の資産740億ユーロ(約9兆円)の切り離し、22年までに全行員の2割に当たる1万8000人を削減することを発表した。

 前期(18年)は最終黒字だったものの、19年4~6月期にリストラの費用を計上し28億ユーロ(約3400億円)の最終赤字に転じる見込みだ。株価は過去最低水準に沈んでいる。

ドイツ銀行は7月上旬、22年までに全行員の2割に当たる1万8000人を削減することを発表した(写真:ロイター/アフロ)

 経営不振の原因は、身の丈を超えた拡大路線と経営スピードの遅さがある。ドイツ銀行はもともとドイツ企業を顧客に抱え、欧州大陸に根を張る金融機関だったが、1990年ごろからグローバル化をひた走った。89年に英モルガン・グレンフェル、98年に米バンカース・トラストを買収。この買収で、当時は総資産で世界最大の銀行になった。

 90年代には欧州でドイツ企業のM&A(合併・買収)アドバイザーに米系投資銀行がつくことが増えており、こうした状況に対抗するためにドイツ銀行はバンカース・トラストの買収で投資銀行業務の拡大を狙った。

 日本でもM&Aが拡大した時期に、ドイツ銀行は頭角を現した。代表的なのが、ソフトバンクのM&A案件だ。同社が06年に英ボーダフォン日本法人を、12年に米通信大手スプリントを買収する際には協調融資の一角として邦銀の他にドイツ銀行が食い込んだ。そのドイツ銀行出身のラジーブ・ミスラ氏が、ソフトバンクグループ副社長となり、ソフトバンク・ビジョン・ファンドのCEO(最高経営責任者)を務めている。

 だが、ドイツ銀行には急拡大のひずみがあらゆるところで表れる。2008年のリーマン・ショック後には、住宅ローン担保証券の不正販売を巡って、米当局に巨額の罰金を支払った。

 さらに期待の収益源だった株式売買業務の潮目も変わっていく。取引のデジタル化が進み、投資家が投資会社より高度な取引システムを活用するようになり、株式売買業務の収益性は低下していく。

 こうした状況を受け、米金融機関は株式売買業務を縮小していたものの、ドイツ銀行は対応が遅れた。株式売買の中心地である米国の取引トレンドやリスクを見極められず、変化への対応が遅れた背景にはドイツ銀行が真の意味でグローバル化できていなかったことに起因する。

 それは経営陣を見れば明らかだ。経営陣の大半をドイツ人が占め、グローバル化しているとは言い難い。