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 イオン傘下のイオンモールは6月28日、中国の江蘇省常熟市に新たな商業施設「イオンモール常熟新区」を開業した。オープン当日に店を訪れてみると、店内は地元の住民でごった返していた。中国では学校が夏休みに入っているとはいえ、平日の金曜日の日中にもかかわらず若い家族連れの姿が目立つ。地域住民の期待の大きさが伝わってきた。

イオンモールの核店舗であるイオン店内。地域住民でごった返していた

 イオンモールとして中国で20番目となる施設だ。同社は中国内4エリアに照準を定めて集中出店を進めている。地域内でブランド知名度を向上させて相乗効果を生み出すことが狙いで、今回出店した江蘇・浙江エリアはその1つだ。クルマで20分圏内にいる人口は46万人と既存店に比べると比較的少ないが、「製造業の拠点になっており、顧客層は若いが、所得水準が高い地域。今後の成長も見込める」(千葉清一副社長)として出店を決めた。

イオンモールの千葉清一副社長。床埋め込み式LEDを使ったインタラクティブアートを無料で楽しめるキッズスペースも用意した

 米中の対立で個人消費の成長鈍化が指摘されることが多い中国市場。加えて、アリババ集団などネット小売大手が「新小売(ニューリテール)」と呼ばれるリアル店舗との融合戦略を進めており、消費市場の競争環境は厳しさを増している。急速に環境が変わる中、6月には百貨店大手の高島屋が上海旗艦店を閉鎖して中国市場から撤退することを発表。大手スーパーの仏カルフールも中国事業を年内に中国家電量販最大手の蘇寧易購集団に売却することを明らかにした。

 リアル店舗を構える外資系流通業に逆風が吹く中でも、イオンモールの中国事業は成長軌道に乗っている。既存店売上高は昨年、2ケタ成長し、今年は黒字転換を果たす見込み。2025年には30店舗に増やす計画を打ち出している。千葉清一副社長は「昨年は15%成長を見込んでいたが10%成長にとどまったことを思えば、確かに市場全体として減速感はある。ただし、消費を刺激すれば反応がある市場であり、しっかりマーケットを作っていきたい」と強気だ。

 逆風下でもイオンモールが成長を続けられる理由は大きく2つある。