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 ウーバー自体も新しい参照機「eCRM(eVTOL Common Reference Models)-004」を見せた。さらに、仏サフラングループの米サフラン・キャビンと共同開発した搭乗部(キャビン)を初公開。人がスムーズに乗り降りできるようなデザインにしたという。

「eCRM-004」のモックアップ
Safran Cabinと共同開発したキャビンの実物大モックアップ。実際に座って乗り心地を確かめられた

駐車場や駐輪場を完備した離着陸ビル

 発着場に関しては、より現実的なコンセプトを発表した。ウーバーは昨年のエレベート・サミットでは、「近未来の都市ビル」のような発着場のコンセプトを大々的に発表。建築分野やエンジニアリング分野のコンサルティング会社などによる数十件の提案の中から、実現性の高い6グループのコンセプトを選んだ。

 いずれもウーバー・エアが普及した時代を想定した大規模なものが多かったが、今回、発表したデザインは小規模で、以前よりも現実味があるデザインだった。外観だけでなく、内部構成も披露した。例えば、駐車場やシェアライド用自転車の駐輪場などが建物の1階や2階といった低層階にあり、エレベーターで上がって屋上にある発着場や待合室に短時間で移動できる構成にしていた。

 空飛ぶタクシーの実現、拡大のために必要な資金をどう集めるのか、その答えは今回のエレベート・サミットでは見えなかった。ウーバー・エアでは機体から離着陸場といったインフラまで、新たに用意する必要がある。それを誰が負担するのかにかかわらず、大きな投資が必要になるのは想像に難くない。

 この点が、個人ドライバーと個人所有の自動車を活用して成長してきたライドシェアのビジネスモデルとは大きく異なる。もちろんその点はウーバーも理解しており、ソフトバンクグループのビジョンファンドやボーイング系のベンチャーキャピタルの関係者が登壇するパネルディスカッションなど、投資家の関心を引く講演もエレベート・サミットに用意した。ワシントンで開催したのも、「インフラに対する公共投資を引き出す狙いもあるのだろう」(複数の参加者)と目されている。

 23年のウーバー・エアのサービス開始は、「相当アグレッシブな目標」(複数の航空業界関係者)。機体開発やインフラ整備、各種安全規制の構築などとともに、資金集めが成否を占いそうだ。

   

空飛ぶクルマ 電動航空機がもたらすMaaS革命

 ウーバーも参戦する空のMaaS市場、巨大産業を支配するのは? 「空飛ぶクルマ」に乗って渋滞に巻き込まれずに目的地までひとっ飛び――。SF映画などで見られた光景が、当たり前になるかもしれない。「空飛ぶクルマ」とは、航空機と自動車が融合した新しいモビリティー(移動手段)だ。巨大市場に急成長する可能性を秘め、新興企業から大手企業までが主導権を握ろうと世界中で競争が激化している。