英ケンブリッジ大学との共同研究グループに34億円を投資

 英国とファーウェイのつながりは深い。既存の携帯電話各社の通信ネットワークにはファーウェイの機器が導入されている。研究機関とのつながりも深く、ファーウェイは17年に英ケンブリッジ大学との共同研究グループに2500万ポンド(34億円)を投資すると発表した。 

 また、新商品の発表でも英国を重視している。昨年10月、同社は「Mate20」というスマホの旗艦機種を発売したが、世界初の発表の場に選んだのは英国だった。発表会は1000人以上の聴衆を招き、ミュージシャンのコンサートもあるなど華やかで大規模なイベントだった。

昨年10月、ファーウェイはロンドンでスマホの旗艦機種を発表した。世界初の発表の場として英国を選んだ
昨年10月、ファーウェイはロンドンでスマホの旗艦機種を発表した。世界初の発表の場として英国を選んだ

 さらに、5月中旬には、英国バーミンガムに新しいトレーニングセンターを開く計画を発表した。5G技術に関するエンジニアの育成と育成を目的とする。 同センターは年間500人以上のエンジニアを訓練する能力を持ち、6月にオープンする予定だという。

 ある識者は「英国は独自の見識というよりも、もはやファーウェイの通信機器が中枢に入りすぎて排除できない関係だ」と指摘する。5Gネットワークは4Gのインフラ上に構築するのが一般的であり、既に広く普及しているファーウェイの機器を使わざるをえない側面もある。

 英国以外にも欧州にはドイツなど「ファーウェイ排除」を打ち出していない国がある。特にスイスはファーウェイとの関係が深く、5G対応のスマートフォンを国内で発売済みだ。とはいえ、米国と同盟を結ぶ英国のファーウェイとの関係は特別である。ファーウェイにしても英国との取引が切れなければ、世界各国に米国と同盟関係にある英国が認めているということをマーケティングの材料に使うことができる。

 中国の駐英大使が6月中旬、ファーウェイの通信機器が5Gから排除されれば、中国と英国の通商・投資関係に悪影響が出るという認識を示した。英国は通信だけでなく、幅広い業界で中国との関係が深い。これらでも影響が出ると英国経済に大きな影響が出かねない。

 英国の次期首相がファーウェイに対するスタンスを変える可能性がある。独自路線を進むと見られた英国でさえも、米国に共同歩調を取ればファーウェイの形勢はより一層悪くなりそうだ。

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