1万台の管理も可能に
フェイスブックのビジネスVRのサービス基盤「Oculus for Business」では、より安価な「Oculus Go」も用いる。いずれの機種も、B to C用途向けであるものの、専用ソフトウエアなどを追加してB to B用に仕立てる。例えば、B to B用途では、1台のパソコンで複数台のHMDを管理することが可能で、10台から1万台まで対応できるとする。
フェイスブックがビジネスVR事業に力を入れるのは確実な需要を見込めるからである。現在、VRのB to C向けの主な用途はゲームだ。だがゲームはヒット作の有無で売上高が大きく変わる「ハイリスク・ハイリターン」なビジネスだ。SNSと親和性がある、VR空間で人やキャラクターと交流するコミュニケーション用途はまだ普及前夜だ。「バーチャルユーチューバー(Vチューバー)」と呼ばれるような、インターネットのコンテンツ配信基盤上で「芸能活動」を行う3次元(3D)CGの「バーチャルタレント」とVR空間で交流するサービスが人気だが、現状では主に日本市場に限る。
ビジネス向けはB to Cほどの「爆発力」はないが、さまざまな業界で確実な需要を見込める。前述のようなトレーニングや設計・開発の支援などに向くからだ。そのため、VRにARやMR(Mixed Reality)を含めた、いわゆる「xR」技術全般が、既にB to B用途に浸透しつつある。ただフェイスブックはこうしたビジネス用途では後発になる。
B to B用途では米マイクロソフトのMR用HMD「ホロレンズ(HoloLens)」シリーズがフェイスブックがビジネスVR市場に挑む上で高い壁として立ちはだかる。現実空間をレンズ越しに直接肉眼で見えるMR用HMDと、仮想映像、あるいは現実空間をカメラ越しに見るVR用HMDでは、ビジネス用途において適する市場が異なるため、一定の住み分けが可能だ。だが、トレーニングや設計・開発の支援では競合する。
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