スタンドアロン型で普及に弾み
ビジネスVRを普及させるうえでカギを握るのが、パソコンなど外部機器との接続が不要で、単独動作が可能な「スタンドアロン」型と呼ばれるタイプのHMDだ。外部機器と接続するHMDの方が高品質なコンテンツを体験できるものの、パソコンが必要になる分のコストや、ケーブル接続の手間がかかる。ビジネス用途は、コンシューマー用途に比べて保守・メンテナンスが重要になるので、ケーブル接続は大きな負荷になる。
スタンドアロン型はこうしたコストや手間がかからないが、従来は性能が限られていた。例えば、オキュラスが2018年5月に発売した「Oculus Go」の価格は199ドルからと安価なものの、検出できる頭部の回転軸は3軸にとどまりVR空間内の動きに制限がある。頭部の3軸に加えて、3方向の直線移動に対応する「Oculus Rift」のような接続型に比べて没入感で劣ってしまう。

こうした状況を打破するべくフェイスブックが19年5月に発売したのが「Oculus Quest」だ。スタンドアロン型でありながら、従来の接続型並みの性能を備える点が特徴で、「Oculus Rift」と同水準のVR体験を実現できるという。

没入感が高いVRコンテンツを体験できることから、ビジネスVRユーザーの期待は大きく、実証実験を開始している。例えば、OSSO VRは米ジョンソン・エンド・ジョンソンの研究機関と「Oculus Quest」を利用した手術訓練に臨んでいる。フォードも3Dモデリングツールを手掛ける英国の新興企業Gravity Sketchとタッグを組み、「Oculus Quest」を利用した自動車デザインに取り組んでいる。
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