全1823文字

 トランプ大統領がツイッターでのつぶやきで予告した通り、米国政府は5月10日、2000億ドル分の中国製品について関税をこれまでの10%から25%に引き上げた。米国による中国製品の関税引き上げは中国経済にどのような影響をもたらすのか。普段から付き合いのある中国国内の証券会社のアナリストに取材を申し込んだところ、返ってきたのは「今回は応じられません」との答えだった。

 理由を問うと「みんなが答えていない中で、自分だけが話すのはちょっと……」。いつもの明快な口調が消え失せ口ごもる様子には、はっきりと言えないが察してくれという空気がにじんでいた。

米国政府の関税引き上げに習近平国家主席はどう対応するか(写真:Sipa USA/amanaimages)

 米国政府は10日の関税引き上げに続き、13日にはスマートフォンなど消費財を多く含む約3000億ドル分を制裁関税の対象とする「第4弾」の措置も発表した。それでも中国政府は外務省の耿爽副報道局長が「貿易戦争を恐れてはいない。最後まで付き合う」と述べるなど、強気の姿勢を崩さない。

 共同通信は、米中貿易交渉の緊張が一気に高まるキッカケとなった5日の米トランプ大統領のツイートの後、現地メディアに報道規制がかけられたと指摘している。指摘通り、主要紙やネットメディアではツイートを分析する記事を見ることはできなかった。その後、中国国内のメディアによる報道は、基本的には中国政府の公式見解を繰り返すにとどまっている。

 中国には「金盾」と呼ばれるネット接続規制があり、これまで対象リストに入っていたのは新聞やテレビなどのマスメディアだった。だが最近になって、新たに日系ネット媒体や雑誌メディアのウェブサイトにも接続できなくなったことが確認されている。中国国内から接続ができなくなったネット媒体の関係者は「中国政府を刺激しないよう、独自記事にも気を使って運営していたのに」と肩を落とす。

 中国政府は、国内経済は堅調で米国の関税引き上げに対しても十分に対応できるとの姿勢を崩していない。中国経済に詳しい日本人アナリストは「公共事業や減税、社会保障費の企業負担削減など最近の中国政府による経済対策は行き過ぎとも思えるほどだった。米中の緊張感が高まった今でちょうどよいくらい。追加の経済対策は当面ないのではないか」と予測する。

 米国による「第4弾」の制裁関税に対抗できるだけの、中国側の関税引き上げ余地は小さい。一方で、第4弾は消費財が多く含まれているため、米国にとっても国民の反発を招くリスクがある。中国側が米国企業への許認可を遅らせるなどの手段で、米国に対抗する可能性も指摘されている。トランプ大統領にとっても、そこまでの対立激化は避けたいのが本音だろう。