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対抗心むき出しのエヌビディア

 上機嫌で発表したテスラに複雑な思いを抱いたのは、これまでテスラにSoCを提供してきたエヌビディアだった。同社はテスラの発表会の翌23日、公式ブログ内でテスラのプレゼンテーション内容に対して異を唱えた。テスラがFSDとSoCのベンチマークとして、エヌビディアの製品を取り上げていたからだ。

Teslaに対する反論を載せたNVIDIAの公式ブログ

 発表会でテスラは、FSDは2つのSoCを搭載した車載コンピューターと、エヌビディアのSoC「Xavier(エグゼビア)」1つを比較していた。これに対してエヌビディアは、同じ完全自動運転向けの車載コンピューター同士で比較すべきだと指摘。高性能な次世代品「Orin(オーリン)」を開発中だとアピールした。さらに、テスラのプレゼン資料内のXavierの演算性能の数値に誤りがあると指摘した。

エヌビディアの焦りが見え隠れ

 4月22日のテスラの発表会で、SoCの開発チームの代表として登壇したピーター・バノン氏はかつては米アップルに所属し、アップルが08年に買収した半導体メーカー米P.A. セミにいた人物である。P.A. セミは低消費電力化を得意としていた。消費電力をなるべく削減し、電力効率を向上させる手法にたけた人物が、テスラのSoC開発チームにいるわけだ。

 自動運転の要となるAI技術の開発では、ディープラーニング(深層学習)の学習をエヌビディアのGPUを搭載したコンピューターで実施する場合が多い。このため、同じGPUコアを搭載するエヌビディア製品を車載コンピューターにすれば、「OTA(Over The Air)」と呼ばれるソフトウエアアップデートを実施しやすいという。だが、車載コンピューターに採用するには消費電力が大きいとの指摘がある 2)。

■参考文献
2)木村、「GPUだけじゃない、AI半導体の最適解」、日経Automotive、2019年4月号、https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/at/18/00012/00016/.