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AI半導体が主役に

 こうしたビジネスモデルを実現する上で必要不可欠なのが、完全自動運転対応の車載コンピューターであり、同コンピューターに搭載するSoCである。それだけに、発表会でのSoCの扱いは「別格」だった。

 一般的に、テスラのような自動車メーカーが開催する自動運転に関する発表会では、安全性のアピールや自動運転車を利用したモビリティーサービスなどの事業戦略の説明に、長い時間を割く。もちろん今回の発表会でも、ロボットタクシー事業やカーシェアサービスなどをマスクCEO自らが説明した。

 しかしそれらはあくまで後半の話題。発表会が始まるとすぐにテスラの半導体技術者が登壇し、FSDに搭載したSoCの話題になった。しかも、SoCのパッケージ(外装)の外観だけでなく、その内部の写真まで披露しつつ、SoC内の回路や機能などの細かな仕様を解説した。アナリスト向けというよりも、半導体技術の国際学会のようだった発表会からも、独自設計のSoCに対する自信と喜びが伝わってきた。

 最近ではプロセッサーなどの半導体部品の大手ユーザーが、自社製品の差異化のために自ら半導体製品を設計・開発し、台湾TSMCや韓国サムスン電子などのファウンドリーに製造を委託するケースが増えている。

 例えば、米アップルはiPhoneやiPad向けのアプリケーションプロセッサーを、米グーグルは深層学習用のプロセッサーやIoT端末向けセキュリティー半導体を設計・開発した。自動車業界でもデンソーグループがAI半導体を開発している。

 テスラのSoCもこの趨勢(すうせい)にある。製造委託先はサムスンで、同社の14nm世代の製造技術を適用している。

SoCのダイ写真(テスラの公式サイトの動画より)