英国で小売り事業者の経営破綻や大量閉店が相次いでいる。
4月上旬には240年もの歴史を持つ老舗百貨店のデベナムズが経営破綻した。米アマゾン・ドット・コムなどのインターネット通販に押されて、収益が悪化。2018年8月期は過去最悪の赤字を計上していた。
実際に店舗を訪れてみると、店員のモチベーションは低く、顧客が少ないため非常に活気がない。管財人の法的管理下にあり、4月末には2020年までに英国内の約170店舗のうち、約50店舗を閉鎖する可能性があることを明らかにした。

18年には百貨店の英ハウス・オブ・フレイザーが経営破綻し、英スポーツ用品小売り大手に買収された。
英衣料品チェーンのニュールックは経営が悪化し、任意整理手続きを債権者に承認された。老舗小売り大手マークス&スペンサー(M&S)は、22年までに100店舗を閉鎖すると発表した。日本のある商社マンは、「昔はM&Sと取引するのはたいへん価値があったが、不振には隔世の感がある」と驚く。
各社の経営難の背景にはそれぞれ固有の事情もあるが、アマゾンなどインターネット通販の影響を受けているのが共通点だ。米調査会社によると、18年12月期のアマゾンの英国事業の売上高は、前年に比べ23.3%伸びている。米国で高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収したように、英国でも大手小売りを買収する観測が絶えない。
まさにアマゾンの浸透とリンクするように、既存の小売業が衰退している。日本でも知られる音楽・映像ソフト販売大手の英HMVは18年末、実質的に2度目の経営破綻に陥った。アマゾンや米アップル、米ネットフリックスなどのストリーミング配信サービスに押され、CDやDVDの販売が落ち込んだためだ。HMVの店舗は常に値引きをしているのに、客足がまばらだ。
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