コーヒー1杯200円以上のカフェが満席に

 アレム氏が注目されているのは、連続起業家としての側面もあるためだ。16年にはカフェ「ガーデン・オブ・コーヒー」を立ち上げた。

 アレム氏のインタビュー映像はこのカフェで収録した。映像でアレム氏が少し声を張っているのは、店内が若い男女のおしゃべりで騒がしかったためだ。一般的な労働者の平均月収が50ドル(約5600円)という水準の中で、アメリカンコーヒーが1杯55ブル(約215円)と高価だが、都市部では富裕層が増えており、夕方近くになると多くの若い男女でにぎわい、ほぼ満席になる。

アレム氏が経営するカフェ「ガーデン・オブ・コーヒー」。夕方から夜にかけて広い店内の座席は満席になる
アレム氏が経営するカフェ「ガーデン・オブ・コーヒー」。夕方から夜にかけて広い店内の座席は満席になる

 映像では伝わらないが、店内はエチオピア豆を煎る強い香りがする。コーヒー好きにとってはエチオピアコーヒーを全身で感じることができる空間だ。

「ガーデン・オブ・コーヒー」では店内でコーヒー豆を煎るため、店中にコーヒーの香りが充満する
「ガーデン・オブ・コーヒー」では店内でコーヒー豆を煎るため、店中にコーヒーの香りが充満する

 カフェについてもアレム氏の発想は地元起点で、グローバル志向だ。エチオピアはコーヒーの発祥と言われ、コーヒー豆の生産が盛んだ。しかし、買い付けなどで国外企業がビジネスの主導権を握っている部分がある。同国の資産を生かし、もっと地元に還元するという発想からカフェビジネスに乗り出した。

 カフェも多くの雇用を生み出し、若い男女がおそろいの白いユニホームを着用して働いている。インタビューが一段落すると、動きの悪い店員を叱咤激励するためか、アレム氏は自らカウンターに入って食器の片付けを手伝い始めた。

 アフリカは女性起業家の比率が高いというデータがある。グローバル・アントレプレナーシップ・モニターの調査によると、女性の労働人口に占める起業家の比率はサハラ砂漠以南(サブサハラ)の各国が欧州を大きく上回る。2015~16年の調査では、セネガルが30%、カメルーンなどが20%を超えた。

 英国やドイツなど欧州各国は5%以下で、日本はわずか2.8%にすぎない。サブサハラでは統計上、労働者と換算される女性が少ない可能性があるが、それにしても高い比率だ。近い将来、アフリカンドリームを目指す女性たちはアフリカにとどまらず、世界的な波及力を持つかもしれない。

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