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 筆者は最近になってようやく、「ある行動」をした人々にとってはインターネットが地獄のような様相を呈していたことに気付かされた。きっかけは米フェイスブックが3月7日(米国時間)に米国で発表した「反ワクチン情報」対策だ。ターゲティング広告が人の隙につけ込む実態があらわになった。

 世界最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である「Facebook」ではこれまで、「はしかやおたふく風邪のワクチン接種が自閉症を引き起こす」「ワクチンは赤ちゃんに死をもたらす」といったワクチンに関する誤った情報が氾濫しており、米国で社会問題化していた。

 2月には米民主党所属のアダム・シフ下院議員がフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)や米グーグルのスンダー・ピチャイCEOに対して「ワクチンに関する陰謀論や医学的に不正確な情報の流通を防ぐよう行動せよ」との内容の公開書簡を送るなど、大手プラットフォーマーに対する風当たりは強まっていた。

米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO

 フェイスブックが3月7日に反ワクチン情報への対策を発表したのは、そうした世論に対応したためだった。同社はFacebookで目に付きやすい「ニュースフィード」やコンテンツ検索結果のページに反ワクチン情報を出にくくする対策や、「ワクチン論争」などの単語を検索した利用者を対象にしたターゲティング広告を禁止する対策などを発表した。

 今回のフェイスブックの発表は、同社の売り上げのほとんどを占めるターゲティング広告に存在する「闇」を浮かび上がらせた。つまりこれまでは、少しでもワクチンに対して疑問を持った利用者を狙い撃ちにして、広告として反ワクチン情報を表示する行為が横行していたのだ。

 この手法は、いくらでも悪用できる。反ワクチン情報を調べている利用者を標的に、別の種類の陰謀論を広告として読ませたり、怪しげな健康効果をうたう食品の広告を見せたりすることもできるからだ。利用者が反ワクチンについてちょっとでも調べたが最後、「これでもか」と陰謀論を浴びせ掛けられてしまっていたのが、今までのFacebookだった。