ソニー最初のクッキング製品は大失敗
クリエーティビティーももう1つのキーワードだ。CMUとの提携では、AIやロボットが美的要素を加味した配膳をすることを想定している。「アトリエのようなラボで新たな料理を開発し、それをレストランで出しているようなところもある」(北野氏)。

ソニーが今回のSXSWで見せたのはこうしたプロフェッショナルの仕事をAIやロボットで支援する新機軸だ。北野氏は「AIは人間の仕事を奪うのではなく、AIがクリエーティビティーをサポートし、人間の可能性を引き上げる」と説明する。
例えば、SXSWのソニーブースでは、ミュージシャンがAIの支援で作曲をするシステム「フローマシーンズ」を披露した。ミュージシャンが作曲する際に、新たな旋律をAIが生成してくれるというものだ。
実はソニーの前身である東京通信工業のさらに前身である東京通信研究所で最初に作った製品は、ウォークマンのようなヘッドフォンステレオでもなければ、ラジオでもない。炊飯器である。戦後の復興期にあわせた製品だったが、米をきちんと炊けずに失敗に終わったという。
こうした経緯から、北野氏は「(ソニーがクッキングに取り組んでも)おかしいことはない。エンターテインメントとして感動を届けたい」と意気込む。ソニーがクッキング参入で成功できるか。テレビやスマートフォンで覇権を取れない今、日々の生活に入り込むために、重要なミッションになるかもしれない。
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