全1429文字

 ソニーがクッキングなど「フードテック」への取り組みを始めている。AV機器やゲームのイメージが強い同社はどのようにキッチンに入り込んでいこうとしているのか。ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)社長でソニー執行役員の北野宏明氏に、米テキサス州オースティンで開催したデジタルやエンターテインメントの総合イベント、SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)の会場で話を聞くことができた。

ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)社長でソニー執行役員の北野宏明氏(SXSWの特設ブース前で)

 北野氏は「クッキングをどう本格的に進めていくのかは決めていないが、(ビジネスとしての)ポテンシャルはある」と話す。

 ただ大手家電メーカーのように、キッチン関連の家電を売るということではないようだ。「確かにソニーは今はキッチンに入り込んではいない。(大手電機メーカーのように)調理器具を提供するのとは全く違うアプローチを考えている」と北野氏は明かす。

 北野氏がSXSWが開催されているオースティンの前に訪れたのが、米ペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学(CMU)だ。

ソニーがYouTubeで流している、「AI×ロボティクス×クッキング」のワンシーン

 ソニーは2018年から、CMUと人工知能(AI)やロボットを活用したフードテックのプロジェクトを進めている。その進み具合をレビューするのが目的だ。「ロボットで人手不足を補うというのもあるが、食のサイエンスを追究していきたい」(北野氏)として、調理とデリバリー(配達)に絞ってプロジェクトを推進している。

 実際、食の世界はサイエンスが深く関わっている。「料理は、味を構成する要素にどのような分子があり、どう掛け合わせて、どのような温度で調理するのかというサイエンスの世界だ。(脳がどのように認知するのかという)ニューロサイエンスも関係してくる」(北野氏)。

 フードはソニーにとって、復活の立役者となった映画・音楽などのコンテンツやゲームと同じ勝ちパターンを描ける分野かもしれない。「クッキングは絶対になくならないエンターテインメントだ」と北野氏は話す。