全人代において、李克強首相は2019年の経済成長率の目標を「6~6.5%」にすると宣言し18年の「6.5%前後」から引き下げることを明らかにした。「バラマキはしない」とも言いながら、企業の税や社会保険料の負担を2兆元(約33兆円)弱軽減し、地方政府がインフラ建設にあてる債券の発行枠を18年と比べ8000億元多い2兆1500億元にするなどの景気テコ入れ策が次々と発表された。

 中国の景気が減速局面にあることは間違いない。リーマンショックの際、中国は4兆元もの経済対策を発動して世界経済を救った。だが、地方政府や国有企業の債務という形で後遺症が残った。中国政府は債務を削減しながら経済を軟着陸させるという、微妙な舵取りを求められている。

 過剰債務に悩みつつ、景気落ち込みを防ぐための経済対策を打ち出さなければならない姿は、どうしても日本経済と相似形に映る。中国の場合はまだ日本ほど財政は悪化してはいないが、国有企業の割合が多い点には注意が必要だ。

 中国ではもう一つの大きな構造問題が顕在化しつつある。一人っ子政策の影響で11年ごろに生産年齢人口がピークを迎えたとみられることだ。16年には一人っ子政策が廃止されたが、18年の出生率は過去最低を記録した。今後は社会保障費がのしかかるという日本同様の問題に直面する可能性が高い。

 中国政府は日本と同じ轍を踏まないよう、日本のバブル経済とその崩壊を真剣に学んでいる。だが、現時点では日本のようなバブル崩壊こそ起きていないものの、日本と同様の問題に直面しつつある。もちろん、中間層の増加によって世界最大の消費市場がさらに拡大していること、インフラがまだ行き渡っていないため建設後の経済効果が見込みやすいことなど、日本とは前提条件が異なる部分もある。

 中国も高齢化と低成長に悩む「日本病」に陥ってしまうのか。その先行きは世界にも大きな影響を与えることになる。

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