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 2月下旬のある朝、広東省深セン市にある「三和人材市場」の周辺は、工場の募集を目当てに職探しをする若者であふれていた。若者たちは人材会社の担当者と話し、条件に納得すると続々と大型バスに乗り込み深センや隣接する東莞市にある工場に向かっていく。「1日に2000人ぐらい来るけど、企業の募集人数には追いつかない」。人材会社の担当者は困ったような顔で笑った。

深センの人材市場は職を求める若者でごった返していた

 担当者は「昨年から企業の募集人数はあまり変わっていないのに、人手不足感はますます強くなっている」と話す。地方から大都市に出てきて職を探す人が減っているのかと思い話を聞いてみると、どうも様子が違う。

 しばらく話していると「最近の若者は働く意欲に乏しいのが問題だ」と嘆き始めた。工場の募集は住み込み食事付きがほとんど。3カ月働いたら3カ月はブラブラし、それからまた働きに出る。そんな若者が増えているのだという。必然的に定着率も悪く、同じ数の募集でも送り込む人数を増やさなければ企業の要請に応えられない。

 良い悪いは別にして社会が豊かになれば、そうした生き方を選ぶ人が一定の割合で増えるのは当然のことなのかもしれない。日本で「フリーター」が出てきたのはバブル経済の時期。人材市場の担当者の嘆きは、日本でも聞いたことがあるような言葉だった。

 3月5日に北京市で開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)でも、「日本でも聞いたような話だ」と感じた発言があった。