全2968文字

 Eコマースの台頭に危機感を持つセントラルはオフラインとオンラインの融合、いわゆるオムニチャネル化を急ピッチで進めてきた。昨年には自社のEコマースサイトで購入した商品を店舗で受け取れるようにしたり、在庫がない商品を顧客の求めに応じて、他の店舗や物流センターから自宅まで配送したりするサービスを始めた。SNS(交流サイト)のLineで従業員と顧客とがやり取りし、欲しい商品を店員が店舗でピックアップして自宅まで配送するサービスも展開している。グループの中核子会社、セントラル・リテールのニコロ・ガランテCEOによれば、「各サービスとも利用が急速に増えている」という。

 自社のアプリを通じて「オンラインとオフラインの垣根をなくしていく」(グラブのアンソニー・タンCEO)ことを狙うグラブは、店舗をオムニチャネルの拠点にしていくことを狙うセントラルにとって渡りに船の存在だった。まだ両社の協業の全体像は見えないが、グラブのプラットフォームとセントラルのオムニチャネルとがより密接に結びつけば競争力のある新サービスが生まれるかもしれない。

 セントラルのみならず、プラットフォーマーとして成長するグラブやゴジェックと組みたいと考える企業は今後も増えるだろう。両社は昨年、東南アジア各国で熾烈なシェア争いを始めており、異業種と提携して自陣営の経済圏を拡大しようとする動きを加速させるはずだ。多くの企業を巻き込むうねりのなかから、世界のITの巨人に伍する東南アジア発の巨大プラットフォーマーが誕生するかもしれない。

■変更履歴
本文中の「同社のデジタル事業を統括するニコロ・ガランテ・グループCOO(最高執行責任者)」は「グループの中核子会社、セントラル・リテールのニコロ・ガランテCEO」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は既に修正済みです [2019/3/15 18:00]