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拓けるかオムニチャネルの地平

 ライドシェア・配車サービスという東南アジアにおける新しいプラットフォーマーの登場は、この地域に日本や米国、中国とは異なる、新しい産業のエコシステム(生態系)を生み出すかもしれない。

 たとえば、Eコマースでは倉庫や店舗から顧客の手に商品を届けるまでのラストワンマイルをどう乗り越えるかが課題になってきたが、ライドシェア・配車サービスが普及していれば容易に乗り越えられる。つまりラストワンマイルの物流が整っていることを前提に、サービスを構築できるわけだ。

 その強みを自社の戦略に組み込もうと狙うのがタイ小売り最大手のセントラル・グループだ。1月31日、グラブのタイ法人に2億ドル(約218億円)を出資すると発表した。商業施設内の店舗やレストランの食事をグラブのドライバーが顧客宅まで短時間で配送するサービスや、グラブを利用してセントラルの商業施設やホテルに向かう顧客に特典をつけるといったサービスを計画する。「(両社の協業により)多くの顧客が30分以内に商品を受け取れるようになるだろう」とセントラル・グループのトッス・チラティワット・グループCEO(最高経営責任者)は話す。

資本業務提携の会見に登壇したグラブのアンソニー・タンCEO兼共同創業者(右から3人目)とセントラル・グループのトッス・チラティワットCEO(同4人目)