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 英フィナンシャル・タイムズなどの報道によると、英国の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は、中国の華為技術(ファーウェイ)製品を次世代通信規格「5G」に採用した場合のリスクは抑制できると結論付けた。

 米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドは「ファイブアイズ」と呼ぶ国家機密情報の共有網を構成しており、カナダは米国の要請に応じて孟晩舟CFO(最高財務責任者)を逮捕し、米国に身柄を引き渡している。米国による「ファーウェイ排除」の呼びかけにニュージーランドやオーストラリアなども賛同、日本も事実上、追随する動きを見せている。そんな中で、ファイブアイズの中核をなす英国が米国主導の包囲網とは一定の距離を置く結論を出したことが波紋を呼んでいる。

 EU(欧州連合)からの「合意なき離脱」という厳しい現実が迫っているタイミングを考えれば、欧州に加えて中国とまで対立が深まるのを避けたいとの考えがあったのかもしれない。しかし、米国との関係が悪化するリスクも抱えることになる。5Gの通信設備の調達先を複数確保したいという思惑もあっただろう。ただ言えるのは、少なくとも英国による分析では排除するまでのリスクは見出せなかったということだろう。

 冷静に考えると、英国の判断が驚きをもって受け止められるという状況自体が、奇妙ではある。本来、西側諸国の価値観では、「証拠も示さずに排除するのはおかしい」というファーウェイの主張を覆すことはできないはずだ。国家安全保障に関わることについて全てを説明することはできない、するべきではないという反論もあるだろうが、極めて慎重に使用すべきロジックだと思う。イラク戦争では「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」との米国の主張が誤りだったことが後に分かっている。

 今年1月、ファーウェイの「サイバーセキュリティーラボ」を訪問し、CEO(最高経営責任者)の任正非氏に加えて、サイバーセキュリティーとプライバシー保護の最高責任者であるジョン・サフォーク氏に取材した。製品について社内の他の組織から独立してセキュリティーチェックを実施し、ソフトの変更についても全て正確に管理しているとの説明を受けた。同社製通信機器について通信事業者が自ら技術検証を実施する施設も用意していた。

ファーウェイの「サイバーセキュリティーラボ」