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 雇用契約を結ばない一般人にサービス提供を担わせる米ウーバーテクノロジーズのようなビジネスモデルを、米国では「ギグエコノミー(日雇い経済)」と呼ぶ。2019年はギグエコノミー企業の新規株式公開(IPO)が相次ぐ見込みだが、前途は決して明るくない。

 ギグエコノミー企業の中でいち早くIPOを実現しそうなのが、即時配達を手がける米ポストメイツだ。同社は2019年2月7日(米国時間)、IPO準備のために非公開の上場目論見書(Form S-1)を米証券取引委員会(SEC)に提出したことを明らかにした。

 同社が提供するのは、店舗にある商品やレストランの料理を注文があったらすぐに配達するサービスだ。配達の担い手は1件ごとに手数料を受け取る「独立契約者」、つまりは一般人だ。消費者がスマホアプリを使って商品や料理を注文すると、一般人がその仕事を請け負い、自家用車や自転車を使って商品を配達する。

米ポストメイツと米フォード・モーターが使用する配達サービス用の自動運転車

 米サンフランシスコやその近郊であるシリコンバレーには、ポストメイツのようなギグエコノミー企業が数多く存在する。最大の存在がライドシェアを提供するウーバーや米リフトだ。それ以外にもソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資した料理・食料品配達サービスの米ドアダッシュや、食料品や雑貨を配達する米インスタカートがある。

 ポストメイツ、ウーバー、リフト、ドアダッシュ、インスタカートのいずれも、推定企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」であり、19年内のIPOを目指している。その中でもポストメイツが頭一つ抜け出しそうだ。

 ポストメイツは現在、米国の2940都市とメキシコで即時配達サービスを提供する。同社と提携して即時配達を可能にしている店舗やレストランの総数は25万件で、配達件数は毎月500万件以上という。

 同社の強みは、即時配達の仕組みをeコマース事業者などに開放していることだ。著名ユーザーが米アップルや米スターバックス。アップルは米国で、直営店「アップルストア」にある製品在庫を即時配達している。そのロジスティクスにポストメイツを選んだ。

 もう一つの強みは、ロイヤルティー(忠誠度)の高い顧客を獲得していること。原動力となっているのが、月額9.99ドルまたは年額95.88ドルの「Postmates Unlimited」というサービスだ。このサービスに加入すると、15ドル以上の注文で配達料金が無料になる。同社によれば、配達の3分の1、都市によっては2分の1が、Postmates Unlimitedの加入者による注文だという。