航空業界の名物経営者が3月に退任する。英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)を傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)のウィリー・ウォルシュ最高経営責任者(CEO)だ。

 ウォルシュ氏は1979年にアイルランドの航空会社、エア・リンガスに見習いパイロットとして入社し、社内でリーダーシップを発揮し2001年に同社CEOに就いた。2005年にはBAのCEOに就任し、2011年にはスペインのイベリア航空との経営統合を実現し、持ち株会社IAGを発足してCEOに就いた。2019年にはスペインのエア・ヨーロッパを10億ユーロ(約1200億円)で買収することを発表している。航空会社のトップを20年近く務めたのは、リストラなどを断行し収益力を高めた実績があったからだ。

英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)を傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は、欧州の主要航空会社で最も利益率が高い(写真:AP/アフロ)
英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)を傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は、欧州の主要航空会社で最も利益率が高い(写真:AP/アフロ)

 次期トップにはイベリア航空CEOのルイス・ガジェゴ氏が就く。筆者は2016年秋、同氏にインタビューをしており、イベリア航空での実績を紹介している。同氏もリストラによる経営再建で名を挙げており、基本的にはウォルシュ氏の経営路線を引き継ぐとみられている。

 退任するウォルシュ氏には、相反する評価がある。株式市場は好意的にウォルシュ氏の経営手腕を評価しているようだ。同氏はBAの経営を立て直し、IAGの増収増益を実現してきた。欧州の航空会社は、大きくIAGと独ルフトハンザ航空グループ、仏蘭エールフランスKLMの3つのグループに分かれている。2012年にはIAGの営業利益率が最も低かったが、収益力を高めて2014年からは他社を引き離してトップを快走している。2018年12月期の営業利益率は15%に達した。

 一方で、顧客や従業員の評価は決して高くない。コスト低減を進めたため、BAのサービスが低下しているとの批判は多い。航空会社の格付け調査会社、スカイトラックスによると、2012~19年までBAの順位は最高17位、最低40位と主要航空会社では下位に低迷している。

 BAのトラブルは枚挙に暇(いとま)がない。欧州の航空会社は天候不順やオペレーションの不手際で欠航や遅延が多いが、それにしてもBAはトラブルが多い。

続きを読む 2/2 前代未聞のフライトの行き先間違い

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