今月9日、フィリピンの規制当局はインドネシアのライドシェア・配車サービス大手ゴジェック(GO-JEK)の参入申請を拒否した。これを受け首都マニラの人々からは「ウーバーが使えなくなって不便になっていた。ゴジェックが来るのを楽しみにしていたのに」(ベンチャー企業関係者)と落胆する声が出ている。

 昨年3月、シンガポールを拠点とするグラブ(Grab)が米ウーバー(Uber Technologies)の東南アジア事業を買収すると発表した。それまでフィリピンを含む東南アジア各国で両社は激しい顧客の奪い合いを繰り広げていたが、状況はガラリと変わった。一部を除き「グラブ一強」の様相が強くなり、特にフィリピンでは同社が市場の9割前後を握っていると見られる。

 競争相手がいなくなったことでグラブの利用料金が高止まりしていることだけでなく、ウーバー撤退の影響で利用できる自動車が減っていることにも不満が高まっている。

 フィリピンの規制当局はライドシェア・配車サービスに登録できる車両の台数に制限を設けている。登録枠は需要に対して十分でないが、規制に従って新規に車両を登録するのも容易ではないため、ウーバーのドライバーによるグラブへの鞍替えが進んでいない。その結果、市民が利用できる車両の数が減り、車両が捕まりにくくなっている。

 グラブ一強のフィリピンで同社に対抗し得る数少ない有力プレーヤーが、域内最大市場のインドネシアを地盤とするゴジェックだ。強力な対抗馬の出現により、再び料金やサービスを巡る競争が起きて利便性が高まるとの観測があった。同社が当局に働きかけることで台数制限が大幅に緩和されると期待する声もあった。

 現地報道によれば、当局がゴジェックの参入申請を却下したのは、同社のフィリピン子会社が外資規制を満たしていなかったためという。これに対しゴジェックの広報部門は「規制当局その他の政府関連機関との前向きな交渉を続け、フィリピンの人々が必要とする交通手段を提供する機会を引き続き探っていく」とコメントしている。

 もっとも、当局がゴジェックを拒否した理由を額面通りに受け止める向きは少ない。既存のタクシー産業への影響や、マニラで問題となっている交通渋滞の悪化を懸念して参入を阻んだのではないかとの見方が強い。

ライドシェア・配車サービスは東南アジアで市民の足として定着している(写真はインドネシアのグラブのドライバーと利用者)
ライドシェア・配車サービスは東南アジアで市民の足として定着している(写真はインドネシアのグラブのドライバーと利用者)
続きを読む 2/2 「バイクシェアを救え」に14万人が賛同

この記事はシリーズ「特派員レポート」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。