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 音声アシスタントなどのAI(人工知能)機能は、もはや家電の付加価値にならない。大手プラットフォーマーがAI機能をタダ同然で家電メーカーに提供しているからだ。ではAIでどうやって稼げばいいのか。米ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー展示会「CES 2019」でヒントを探った。

 「パナソニック全体でのコンセンサスはとれていないが、(家電にAI機能を搭載したからといって)高い価格を付けることはできないだろう。まだ具体的に言うことはできないが、AI家電を活用した何らかのサービスを提供することで、別の方法で対価を得ていく必要がある」

CES 2019会場で取材に応じるパナソニックの津賀一宏社長

 パナソニックの津賀一宏社長はCES 2019会場で開いた記者会見で、記者の質問に対してこう答えた。津賀社長の発言は二つのことを示している。一つはAIが家電の付加価値にならない現状を津賀社長自身が認識していること。そしてもう一つはパナソニックとしてAI家電で稼ぐ方法をまだ模索していることだ。

 背景には、米グーグルや米アマゾン・ドット・コムなどが、家電にAIを搭載するのに必要な「部品」を非常に低いコストで供給し始めたことがある。

 例えばグーグルがCES 2019に合わせて発表した「Google Assistant Connect」は、家電に搭載するとグーグルの音声アシスタント「Google Assistant」を利用できるようになる半導体チップセットだ。家電メーカーに対して数ドル程度でチップセットを供給する見込みだ。

 同様の取り組みはアマゾンも2018年9月に発表済み。アマゾンは音声アシスタント「Alexa」を搭載したデジタル家電を実現する開発キット「Alexa Connect Kit(ACK)」を、やはり数ドル程度で家電メーカーに提供している。

 家電メーカーはグーグルやアマゾンが提供するパーツを組み込むだけで、家電に音声アシスタント機能や自然言語処理機能を組み込めるようになった。独自のハードウエアやソフトウエアを開発する必要すらない。しかもそのコストは1台につき数ドル程度。どんなメーカーでもわずかな費用で家電にAIを搭載できるようになったのだから、AIは付加価値にならなくなった。